マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本管区

韓国でのルーツ探し―フェロー諸島

FaroeIslands5歳の時に韓国からフェロー諸島に養子としてもらわれて来たダイアナは、フェロー諸島に派遣されている韓国人のシスターフローレンスと一緒に韓国に自分のルーツ探しの旅に出ました。その感動的な旅路の分かち合いです

 

2003年にフェロー諸島に派遣されて間もなく、韓国から多くの子どもが養子としてフェロー諸島にもらわれてきていることを知りました。私はとても驚いて、どうして子どもたちがこんな遠くの島にもらわれてきたのかと不思議に思うと同時に、何か私にできることはないかと思っていました。しばらくしてその中の何人かの子どもに出会いましたが、ダイアナもその中の一人です。ダイアナは、5歳の時に養子になり、結婚して今は5人の子どものいる37歳の女性です。彼女と御主人は、6年後の結婚25周年のお祝いに韓国に行く予定を立てていました。

July 3昨年、彼女の御主人がそれとは異なる計画を私に提案しました。「シスターは3年毎に帰省なさるから、その時ダイアナを一緒に連れて行ってくださいませんか。」と言うのです。私はそんなことは全く考えていなかったので、言葉を失ってしまいました。最初に頭に浮かんだのは、家族訪問がめちゃくちゃになってしまうということでしたが、しばらくして、聖霊が、聖書のイメージで、私の識別を照らしてくださいました。「私には韓国に家族がいて3年毎に訪問することができる。でもダイアナは、こちらに32年前に養子になって以来、ずっと肉親の家族を探している。そして韓国のことも知らないし、韓国語もわからない。99匹の羊を残して迷子になった1匹の羊を探しに行くイエス様が、私にダイアナと一緒に韓国に旅する力を与えてくださるに違いない」という考えが浮かびました。それで、ダイアナと一緒に韓国に行き、家族訪問の最初の2週間を共に過ごすことにしたのです。

それ以来、ダイアナの韓国の家族を様々な方法で探し始めました。フェロー諸島に来て11年目に、神様は今まで思ってもいなかったミッションを私にお与えになりました。最初はどのようにしたらよいのか全くわかりませんでしたが、ダイアナが3歳まで過ごした養護施設の園長と連絡を取ることができました。

July 2ついに出発する日がやって来ました。フェロー諸島から韓国までは丸2日の旅路です。最初はソウルの管区本部に、その後は、プサンの修練院に滞在しました。というのはダイアナが5歳までいた養護施設がプサンにあるからです。管区本部のシスターたちに暖かく迎えられ、私はすぐに、ダイアナの養父母から渡された書類を持って警察を訪ねましたが、警察の答えは「肉親の両親の情報が欠けているので、何も手助けすることはできない」というものでした。実際、彼女に関する記録は、彼女の韓国の名前、生年月日、2歳の時の養護施設入所日、そして5歳の退所日だけでした。そしてプサンに行って、市役所を訪ねましたが、彼女の生年月日や名前にあたる記録は何も見当たりませんでした。もしかすると、ダイアナには何も記録がなく、当時はよくあったことですが、養護施設で作った記録を渡されていたのかもしれません。5歳まで彼女が韓国にいたということを証明するものが全く見つからなかったのは、ダイアナにとって、とてもつらいことでした。というのは、この韓国訪問で、肉親の家族を探すばかりでなく、ダイアナには5歳までの記憶が全くないので、養子になる前の自分のことを知りたかったからです。それで、ダイアナは、当時彼女の世話をした養護施設の職員に会いたいと望みましたが、個人情報保護の名目で、それも叶いませんでした。

しばらくダイアナは悲しみの中で苦しんでいましたが、それを克服し、平和のうちにこれを受け入れることができました。それは、きっと韓国に着いて以来、シスターたちにやさしく受け入れられ、愛された体験が助けになったのでしょう。慈しみ深い神様がずっと彼女の一緒に歩んでくださいました。

July 1 彼女は、韓国での歓迎ぶりに感動し、目をうるませながら「全然知らない人たちから、こんなに親切にして頂いて、言葉もありません。シスターたちは、宿泊や食事のお世話をしてくださり、また夕食に呼んでくださった信者さんもいます。また韓国の伝統的な村に連れて行って、韓国料理のお店でおいしい食事を御馳走してくださった方もいました。」と、感謝の言葉を繰り返していました。ダイアナは自分の人生を「ジグソーパズル」に例えて次のように言いました。「私の人生は、ジグソーパズルの多くのピースで成り立っています。私は一人では、それらを正しい所に組み込むことできません。それで、神様は人生の途上で、私を助でけるために人々を送ってくださるのです。そしてその人々に助けていただいて、私の人生がピースで埋まり、完成していくのだと思います。」

 July 4イアナは韓国でのルーツ探しをあきらめました。それで、祖国の楽しい思い出をフェロー諸島に持ち帰ることができるように、シスターたちが働いている場所に彼女を連れていくことにしました。老人のお世話をしている所に行ったとき、彼女は本当に感動した様子でした。そこでは、山の中で厳しい生活を送ってきた高齢の女性たちが、一日を過ごすために、私たちの家に集まっていました。彼女たちは貧しく、日々の生活がやっとですが、私たちに韓国料理を御馳走してくださいました。ダイアナは「感謝のしるしに、シスターたちに果物を贈りたいと思っていましたが、もっとよい事を思いつきました。近くのお店でスイカを二つ買って、このおばあさんたちに差し上げます。そうすればお店とおばあさんたちと両方を助けることができると思います。」と言いました。

シスターたちへの感謝を込めて、何かをプレゼントするのではなく、夕食を作ることにしました。最後の夜は、とても素晴らしい夜となりました。ダイアナは、修道院からのプレゼントをもらったのです。韓国民族衣装です!それは彼女が長い間欲しいと思っていたものでした。シスターに着付けてもらい、皆にその姿を披露しました。彼女は、シスターたちのやさしさと愛に包まれて、子どものように喜んでいました。韓国での恵みと祝福の2週間で、ルーツ探しはできませんでしたが、ダイアナは自信がつき成長した様子で次のように私に語りました。「今、私は韓国出身だと誇りを持って言うことができます。『父母が私を見捨てようとも、主は、必ず私を引き寄せてくださいます。』(詩編27:10)」と。

Florence Lee, fmm