マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本管区

忘れ去られた人々との出会い―インドネシア

Indonesia「マリアの宣教者フランシスコ会員として、私たちの務めは、教会に苦しみのあるところで、畑を耕して畝を作ることです。」(創立者の言葉)インドネシアで、私たちは、女性の自立を目指して裁縫の技術を学ぶセンターを開いています。今では国内ばかりでなく、保護を求めて外国から来ている女性もセンターで学んでいます。

 

ボゴールの無原罪聖母修道院に派遣されて間もなく、私は、新たな使徒職を持つことになりました。それは、貧しい人々のための裁縫コースのお世話です。この仕事を任命されて、最初はとてもびっくりしました。というのは、私は、裁縫が全然できないからです。しかし、FMMとして、この務めにチャレンジすることにしました。創立者の心の中に、貧しい人々や苦しむ人々がどんなに大きな位置を占めていたかを思うとき、自分のできることが何かなどとは言っていられないと思いました。そして、創立者の言う「畑の畝作り」のお手伝いをすることになりました。

インドネシアこのセンターは、1987年に、貧しい女性たちが技術を学び、コース終了後は洋服屋に勤めたり、家庭でその技術を生かしたりすることを目的に開設されました。このコースの受講者は、主に家事労働者や学校に行けなかった女性たちで、いわば社会から忘れさられたような人々です。このコースに参加する前には、全く教育らしい教育を受けたことのない女性がほとんどです。そして、キリスト者ばかりでなくイスラム教徒の女性もコースに参加しています。 センターでは、二人の先生が、技術指導に当たっています。私は、裁縫が全くできないので、教えることはできませんが、毎日センターに通い、細かい雑用をしながら、受講者たちとのかかわりを少しずつ深め、個人的な相談を持ちかけられるようになってきました。私がここに任命されて間もなく、一人のボランティアがいらっしゃいました。彼女は成功したデザイナーで、このコースに通う貧しい人々に自分の技術を分かち合いたいと望んでいらっしゃいました。彼女を知る人は皆驚いていました。というのは、忙しい仕事の中をぬって、助けを必要としているこのグループのために時間を割いてくださっているからです。その上、彼女は全く無償でこの仕事をして下さっています。

インドネシア No1今では、センターは地元の女性ばかではく、世界中からの女性を受け入れるようになりました。2013年8月から、イエズス会難民サービス(JRS)が保護している難民申請中の女性たちがコースを受講するようになったのです。それは、私たちがJRSと協力して、UNHCRが受入国を探すのを待っている女性たちに裁縫技術を教えて欲しいというパスカル司教様(フランシスコ会)の要請によって始まったものです。これらの難民たちはアジア、アフリカ、中近東などの色々な国から逃れてきた人々で、現在、スリランカ、エチオピア、ケニア、イラン、アフガニスタン、シリアから逃れてきた7名がコースに参加しています。彼女たちは、自国で苦しい思いをして自国を離れ、今はまたここインドネシアで自分の居場所もなく、受け入れてくれる国を待っている何重もの苦しみを負っている人々です。もちろんインドネシア語はできず、わずかな英語しかできませんが、一生懸命に技術獲得に励んでいます。少しずつ、私たちとの間に暖かい関係ができ、彼女たちの目から不安な様子が消え、微笑みが浮かんできているのは、本当にうれいしいことです。 この裁縫センターで、「忘れ去られた人々」に奉仕し、教会の「畝作り」の一端を担えることを心から感謝しています。それも、私の不得意な「裁縫」センターを通して奉仕させていただいていることを思うとき、神様の不思議な業に感謝せずにはいられません。

Vera Veronica Sihombing, fmm