マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本管区

フィリピン

クロエのレモネードの屋台

私たちの生活の証は、自分たちだけにとどまらず、回りの方たちにも神の国の素晴らしさを示して、その祝福を分かち合うことに参加するようにと招いています。ここで、皆さまに私たちがどのようにして神の恵みの道具となって、その恵みを人々にも伝え、共にすることができたかを物語る心暖まる素朴なお話を伝えましょう。 それは、フィリピンにいる一人のシスターが分かち合ってくださった彼女の姪と娘の話です。

「小さな子供たちを来させなさい。私のところに来るのを妨げてはならない。天の国はこのような者たちのものである。」(マタイ.19 :14)

アメリカに住んでいる私の姪の娘クロエ(Chloe)は、フィリピンの一人の母親を援助するためにレモネードの屋台を作ることで、苦しんでいる世界と一致団結しようとしている私たちの行動に参加してくれました。
フィリピンのケゾン・サリャヤ地区タンバガで、私たちが近隣の人たちと「基礎教会共同体」で「福音の分かち合い」をしましたが、その時、私はエルマ(Elma)という26歳の母親に出会いました。彼女は肺の手術を受けなければならない緊急の状態にあったのです。肺に水がたまり、呼吸をするのが困難でしたが、家族は貧 しく、エルマに手術を受けさせるための資力がありませんでした。私たちの祈りの集いの間、彼女の二人の子供、9歳のシーラ・マリと4歳のジョシュアは、病気の母親のために熱心に祈っていました。私はその若い母親に心が惹かれ、彼女に手術が受けるのに必要な基金を集めてあげると話しました。

フィリピンの国立肺疾患センターがエルマのための入院費とドクターによる手術の費用を免除してくださいましたが、それでもなお、彼女は検査料や薬代などのために4万ペソ(850ドル)が必要でした。私はこの機会が自分の家族や友人にとって、苦しんでいる貧しい人たちのために手を差し伸べるとても良い機会だと考え、基金募集のキャンペーンを始めました。アメリカにいる自分の姉妹、姪、学校時代の友人たちに声をかけましたが、非常に心温まる応答の一つが姪のアンジェリ・ブレィキ(AngelieBlakey)から来たのです。彼女は全額を寄付することを申し出てくれ、しかも4歳の娘クロエもそれに参加させることにしたのです。アンジェリは娘がレモネードとクッキーの屋台を作るのを助けてやりました。

復活祭の日曜のすぐ後、クロエとその2人の友達のアメリカ人は、マンハッタンビーチで、レモネードとクッキーのスタンドに立ちました。スタンドの脇にはエルマとその2人の娘の写真のついたポスターが貼ってあり、そこには大きな字で次のように書いてありました。「フィリピンにいる病気のママを助けてください」
間もなく姪のアンジェリは次のような手紙を送ってくれました。

「…昨日、クロエとその友達はレモネードのスタンドを作りましたが、それは大成功でした。家族のポスターには写真がはってあり、そこにはシーラ・マリの書いた言葉がありました。傍を通りすがる人たちのほとんどがそれに興味を示して、寄付をしてくれました。娘たちはレモネードを売り、何のためにお金を集めているのかを説明するという大変な仕事をやってのけました。彼女たちは94ドル35セントを2時間で集めましたよ!私たちは娘たちに大満足です。また、助けてくださった善良な人々に心を打たれました。すべての子供たちがそのようなことに関わったこと、また、その目的のためにお金を寄付する人たちにとっても、これは本当に素晴らしい勉強の機会でした。子供たちが集めた金額に不足分を足し、200ドルにして月曜日にお送りします。私たち全員から愛をこめて。 Angelie」

私はアンジェリが素晴らしい母親であることをほめてあげました。特に自分たちよりも恵まれていない兄弟姉妹たちのために、与えることの大切さをまだ幼い娘に教え、それを周りの人たちにも及ぼしたことを。きっとクロエは生涯このとき学んだことを覚えているでしょう!

エルマは肺の手術を受けることができ、それは14時間もかかりました。ドクターたちはココナツほどの大きさの腫瘍を取り除くことができました。それが、彼女の肺を圧迫して、息苦しくしていたのでした。もし、それが取り除かれていなかったら、2人の小さな子供たちをおいて、死ななければならなかったことでしょう。クロエとその友達、そしてエルマが再び元気になるのを助けてくださったすべての寛大な人々のことを神に感謝しています。