マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本管区

モロッコ「移住者への奉仕を生きるフラテルニテ」

教皇フランシスコは、第105回「世界難民移住移動者の日」教皇メッセージで「現代の移住現象が抱える課題への対応は、受け入れる、守る、励ます、共生するという4つの動詞にまとめることができます」と語っておられます。その4つの動詞を生きようとしているモロッコのフラテルニテ(小共同体)のわかちあいです。

ナドールの町は、スペインの飛び地メリリャから13kmのところにある、古い伝統を保つモロッコの小さな町です。しかし昔はスペイン領土だったために、スペインの影響を受け、今でもスペイン語を母国語とする人もいます。多くの人が小さな商売で生計を立てていますが、スペインからの密輸で生活している人もいます。

この町の特徴の一つは、スペインを目指すサハラ以南の兄弟姉妹が、大勢足止めされて難民キャンプに住んだり、山の中に隠れ住んだりしていることです。彼らは、国境の塀を乗り越えメリリャから向こう岸のスペインに渡るか、あるいは飛行機でスペインに飛ぶことを企てている人々です。彼らは、自分のより良い生活を求め、あるいは国に残してきた家族の生活を支えるために、命をかけて自国を離れて来たのです。

私たちは、約2年半前に、ここナドールにフラテルニテを創立しました。この地域に滞在するサハラ以南から移動してきた兄弟姉妹と共に生きることが目的です。メンバーは3人のシスターで、小共同体ですので、私たち独自の活動というよりも、地域の移住者委員会の活動に参加するという形で関わりを深めています。

委員会は、主に次の3つのプロジェクトに取り組んでいます。

1. 社会・医療プロジェクト

移住者の健康を「守る」プロジェクトです。モロッコ政府の医療センターに人々をつなげ、特に妊婦と子どもに重点を置いて、必要な時には、薬や治療を受けられるようにします。

2. 「受け入れの家」

国境の塀を乗り越えようとしたり、他の様々な理由で怪我をしたときに、回復するまで休める所です。また出産後の女性も、キャンプに帰る前にこの家で、産後のケアを受けることができます。今では、Sr.グアダルーペ・ズニーガがこの家の責任を取るようになり、私たち全員が、身体的・精神的な回復を目指している兄弟姉妹を「受け入れ」「励まし」「共に」歩んで支援しています。

3.同伴プロジェクト

キャンプを廻るプロジェクトで、現在は22カ所のキャンプを回っています。移住者や難民たちが暮らすキャンプを毎日訪れ、緊急な必要を調べ、物質的な支援をしますが、何よりも彼らの悲しみや希望に耳を傾け、わかちあいの時を大切にしています。Sr.フィデラとSr.ロージーがこのプロジェクトの責任を取っています。

また、キャンプではなく、国境付近に隠れ住む人々の元も訪ねます。彼らの状況は、キャンプで住む人々よりもなお一層ひどいものです。キャンプでは、食料の配布が少ないながらもありますが、それらの人々は、日々、食べ物を手に入れるために、長い距離を歩いて、物物乞いをしたり、ごみ箱をあさったりしています。水も同じです。女性たちの中には、町に降りてきて、信号で止まる車にお金を求めたり、特に金曜日には、モスクで食べ物の施しを求めたりする人もいます。それらの人々の元に出向き、彼らの苦しみを目のあたりにする時、私たちは自分の無力さを実感するとともに、教皇フランシスコがおっしゃる「出向く教会」の一人になれたかもしれないと感じられることに感謝しています。

私たちは、周りの善意の人々と共に、苦しむ人々のもとに出かけ、あるいは彼らを私たちのもとに受け入れ、皆で共に生きようと、日々歩みを進めています。私たちの方からは、最初から兄弟姉妹として関わりますが、苦しい体験をした方々は、最初は疑いの目で心を許しません。しかし、関わりを続けるうちに、ある時から、彼らは私たちが信頼できる人たちだと気づいてくれるようです。そうすると、彼らは私たちを信用し、心のうちを打ち明けてくれるようになり、具合の悪い時には私たちを探して、助けを求めて来ます。また、スペインに無事辿り着くことが出来た人からMama Boza”!!(助かった!の意味)という電話を受けることもあります。

このフラテルニテに派遣され、善意の人々と共に、苦しむ兄弟姉妹と悲しみ、苦しみ、そして喜びを分かち合える機会を与えられていることに心から感謝しています。

Lupita Zuniga, Rosy Xavier, Fidela Borquez, fmm