マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本管区

~「出向いていくこと」~


現代世界は絶え間ない変化にさらされ多くの問題を抱えています。その現状に対して教皇フランシスコは「出向いていく教会」であれ ! 誰もがこの新しい「出発」に招かれている、と力強く呼びかけられました。それに応えて 世界宣教の使命を頂いている私たちの修道会も全世界で動き始めました。

~私達を取り巻く世界をもっと理解する為に 個人的にはまず自分自身から、
次に 一つの体(修道会)としての「私達自身」から「出向いていくこと」へと~

各共同体は姉妹同志お互いに、そして周囲の方々に、心を開いて聴き、率直に、単純に、勇気をもって話し、関わることから始めました。今日紹介するのはある共同体の一つの体験です。

高齢の姉妹が多いこの共同体では「真剣に聴きあう」ことを大切にして 祈り、話し合い、わかちあいを繰り返しました。修道院の敷地内には、老人ホーム、保育園があり、祈り、働き、存在によって、長年地域の人々に奉仕し関わってきましたが、今回「出向いていく」という新しい試みを始めるにあたって地域の方々が私たちをどう感じておられるのか、また私たちも地域の人々の現状を本当にわかっているのかと問い直す機会となりました。それでこの地域をよく知る方をお招きして聴いてみることにしました。分かったことは周囲の人々は私たちを概ね肯定的に受けとめ、精神的支えを求めているということでした。こうした苦しみや悩み、貧しさ、親や子供から見放されて孤独な最期を迎える人々の存在などを知った私達は祈りの他に今、何が求められているのかを共同体でわかちあうことにしました。

その結果、次のような提案が出てきました。桜の美しいこの時期に、園庭を地域の方々に開放し、澄んだ青空のもと 色々な種類の桜を鑑賞しながら、ふれあい、お話しを聴く機会を作ろうということになったのです。ボランティアの協力を得て2日間、老いも若きも、皆が積極的に思い思いに、楽しく有意義な時を体験する事ができました。

当日は開園前から待っておられた子ども連れのお母さん方や中学生、高齢のご夫婦、別の老人ホームの利用者の方々など予想以上に多くの来園者があり、ルルドの前で祈ったり、
オカリナを演奏したり、「聖堂に入りたい」と言われてご案内した方、「今後日曜日のミサに行きたい」「クリスマスに来たい」「悩みを話したい」という方々など、和気あいあいとした雰囲気で語らい、シスター達は皆「やってよかったね」と口々に言い合いました。

今後に向けて課題も見えてはきましたが、この「出向いていく」という試みはこれからも、何らかの形で続けていきたいと思っています。

(Srs. N・M、 Y・S)