4月、今年もまた新年度が始まりましたね。新生活を始められた方もいらっしゃることでしょう。教会では、今年は3月27日にイエス・キリストの復活を祝う復活祭(イースター)を迎え、そのよろこびを味わいながら過ごしているところです。
私は2週間ほど前に、カナダ管区での研修を終えて帰国しました。日本を離れていたのは1年だけなのに、とっさの反応やお祈りで日本語が出てこなかったり、エスカレーターで左右反対に立っていたり、東京の真ん中で、道ですれ違う見知らぬ方々に挨拶してしまい(しかも“Hello”と口から出てしまう)、ご親切に立ち止まって下さった方を戸惑わせてしまうなど、少々怪しげな日本人となっている私ですが、このようにして「ああ、日本ではこれはこうだったかな、日本のうちの修道院ではこうだったかな」と色々再発見している今日この頃です。
その一つがもやしのヒゲ根。日本のFMMの姉妹たちがもやしを食材として使う時、たいていヒゲ根をきれいに取り除きます。結構手間のかかる作業なので、食事当番の姉妹が一人でしているのを見ると他の姉妹たちが手伝い始めることも多いのですが、私は入会当初「なぜ毎回ヒゲ根取りを?」と思ったものでした。野菜炒めくらいなら別に時間をかけてヒゲ根を取らなくたっていいんじゃないの? と思っていたわけです。
そこである日、姉妹にその理由を聞いてみたところ「ヒゲ根の部分が、喉に引っかかって食べづらい姉妹がいるのよ。年をとると、胡瓜の皮のゴツゴツしたところも喉に引っかかる感じがするから、胡瓜の皮も部分的に剥いた方がいいわね。」とのこと。なるほど、納得。おいしさや栄養のためではなくて、姉妹のための愛の行いだったのでした。
帰国して新しい修道院に移動した翌日、ヒゲ根取りをしていた姉妹を手伝いながら、「ああ、日本に帰ってきたな」と実感した私。愛の表し方は国や文化によって違うけれど、この細やかさは日本流。まだカナダに半分足を入れていた私に、ここは日本だぞ、と再確認させてくれた出来事でした。 (Sr. T.H)