マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本管区

眠り草〜クワンソウ〜をご存知ですか! 〜沖縄北部の離島;伊江島から〜

Sr村松19月8日、草花に露が宿る「白露」という節気を迎え、暦の上では本格的な秋の到来を告げる季節に入った今、沖縄北部の今帰仁(なきじん)村やここ伊江島でも、ユリ科の黄色い可愛い花、クワンソウがあちこちで咲いていて、私たちの修道院の菜園でも土流を防ぐために植えたクワンソウが今、見頃です。

この花は沖縄の伝統野菜の一つで、琉球王朝時代から食されてきました。和名は「アキノワスレグサ」で別名「トキワカンゾウ」とも呼ばれますが、沖縄では「ニーブイブサ」(眠り草)といわれ、この名の示す通り、昔からクワンソウは安眠に効果があると重用されてきました。近年、クワンソウは学術的にも研究され、質の高い深い睡眠を促す作用のあるアミノ酸のオキシピナタニンが豊富に含まれていることがわかり、睡眠誘発作用だけでなく、熱で眠れない時や子供の夜泣き、心身の疲れなどにも効果があるようです。  またグリシン(これもアミノ酸の一種)が睡眠や休息に役立つと注目されていますが、クワンソウのオキシピナタニンにはグリシンの100倍の効果があるとの研究結果もでていて、今までの処、副作用もみられないという、まさに神様から琉球国に賜った薬草であり食材であるといえます。

花や茎の柔らかいところは天ぷらにしたり炒めたり、また葉は煎じてお茶にします。私たちも花弁をそのまま食べましたがとても甘くてシャキシャキした触感で何とも不思議な気分になって、その夜は安らかな眠りに入りました。また花弁と茎を茹でてもやしと一緒にお浸しにして素敵な沖縄料理の逸品を作ってみました。さっぱりして美味しかったです。

皆様も眠れないときは、クワンソウの咲くこの時期に沖縄で至福の時を過ごしてみませんか?

Sr村松2私たちは聖堂のイエス様やマリア様のそばにクワンソウを飾るので、イエス様、マリア様と共に安らかな祈りの時を過ごします。

基地も戦争もなかった平和な国、琉球王朝時代のウチナンチュー(沖縄の人々)は、このような「自然」に守られ生かされる中で、人間の命も自然界の命も大切にする「ヌチドウタカラ〜命こそ宝〜」の心を長い時間をかけて育んできたのだと感じています。そしてこの心は自然を兄弟姉妹と呼んで慈しんだ聖フランシスコの心に重なるように感じています。

Sr村松3沖縄の先人たちの知恵にまた脱帽した今年の秋でした。

(シスターN・M)