マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本管区

イタリア

ロサルノの人々と共に

南イタリア・カラブリア地方にある町、ボスコ・ディ・ロサルノの小さな共同体は、マフィアに苦しめられているイタリア人や移住者と共に暮らしています。
1970年代に、私たちは、イタリア南部のカラブリア地方に新しい共同体を作りました。この地方は、マフィアに牛耳られていて、「ンドラゲタ マフィア」(イタリア最大のマフィアの犯罪組織)の影響が強く、貧しい人々の多い地方でした。

まず、シスターたちは、多くの人々が字を読めないために、貧しい生活を余儀なくされていたので、識字教育に取り組みました。今では、電化製品などのお陰で表面的には、人々の生活は豊かになってきたように見えますが、違った問題が浮上してきています。失業している人々が、それらの電化製品を買うお金を、どこから手に入れているのかが問題なのです。

現在、私たち4人のシスターは、ボスコ・ディ・ロサルノの「ピアナ教会」で、人々の霊的・人間的成長のために、シスター一人一人ができることで奉仕しています。若者の祈りの同伴、フランシスカン霊性のコースなどの司牧活動や、カリタスに協力して、教会に食べ物をもらいに来る人々のお世話や、地域の保健センターでの奉仕など福祉活動も行なっています。

この地域は、オレンジ農園があり、もともと移民労働者の多い土地で、アフリカやブルガリアからの多くの移民労働者たち(その多くはヴィザなし)が、掘っ立て小屋を借りて住んでいます。イタリア人は、彼らに法外な家賃を要求しているようです。また、工場跡に住み着いている人もいます。皆、仕事を探しているのです。運よく仕事につけても、一日25ユーロしか稼ぐことができません。彼らには、証明書も、寒さをしのぐ衣服もなく、食べ物も、安全な住居もありません。私たちは、できる限り、食べ物や衣服を配っています。教会の信徒もグループを作って、毎日朝食と週2回昼食の炊き出しをしています。

ここで、1月に、イタリア中の人々の関心を引く事件が起こりました。1,000人くらいのアフリカ系の移住者たちと、イタリア人住民の間で、衝突が起こり、大きな暴動になりました。一人のアフリカ系移住者が、イタリア人と言い合いをしていましたが、殴り合いになり、アフリカ系移住者はひどく怪我をしました。それから、イタリア人とアフリカ系移住者たちの大衝突になり、大勢の怪我人がでました。本当の理由が何であったのかわかりません。しかし、どちらの側もマフィアに操られているのです。イタリア人は、マフィアからお金を握らされ、移住者たちの多くは、不法滞在なので、仕事の斡旋をマフィアに頼っているのが現実です。丸二日間、武装した警察が鎮圧を図り、アフリカ系移住者たちをグループホームに保護しました。今は状況はかなり収まっていますが、問題が解決したわけではありません。ロサルノのような辺鄙な土地で、低賃金で働きたいイタリア人労働者は、ほとんどいません。それで、不法滞在の移住者が働いているのです。マフィアが相変わらず、ビジネス、警察、そして政治のすべてを支配しているのが実情です。今回の暴動で何人かのマフィアが逮捕されましたが、問題の根は本当に深いところにあります。

私たちは、誰にでも戸を閉ざしません。私たちの元に、また、助けを求めてやって来る移住者たちも出てきましたが、あの暴動の恐怖から、部屋から出られないでいる移住者も少なくありません。私たちは、イタリア人であれ、外国人であれ、すべての人々と分かち合い、平和の証し人になりたいと望んでいます。