マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本管区

アトラス山麓への旅

モロッコ アトラス山麓にあるタチウイン地方の遊牧民と共に過ごす二人のシスターが、「人々と共にいる喜び」を分かち合ってくださいました。

  シスターの減少と高齢化が進む中、モロッコ管区では創造的に宣教を続けています。今までアトラス山麓地方に、ミデルトとタチウインの二つの共同体があったのですが、その二つが合併し、「一つの共同体で二つの宣教地」を持つようになりました。

タチウインの宣教地には、私たち二人が住み、週末にはミデルトのシスターたちと共に過ごします。私たちはこの地方の遊牧民や村に定住した元遊牧民の人々の奉仕にあたっています。

私たちの生活は、誕生、結婚、埋葬など村人の生活と結びついています。私たちは村人と同じような家に住み、村人と同じような生活をしています。ドアはいつもあけてあり、村人たちはいつでも自由に塩、砂糖、食器など必要な物を探しに私たちの家に入ってきますし、私たちも足りない物があるとき、同じようにしています。村にはお店がないからです。

 幼稚園では、シスターマリアが、子どもたちが学校にスムーズに上がれるように準備をしています。子どもたちはベルベル人でベルベル語を話しますが、学校ではすべてがアラビア語で行われるからです。5歳の男の子は、一人前にロバに乗って幼稚園に通ってきます。幼稚園に着くとロバから降りてロバをつなぎますが、帰りは一人ではロバに乗れないので、手伝ってもらいます。

 保健師のシスターバーバラは、村の無料診療所で患者さんたちのお世話をしています。治療ばかりでなく、彼女たちの話しを聞くのも彼女の仕事です。月に一度か二度、また呼ばれた時にはいつでも、遊牧民を訪問するために、山に登っていきます。私たちが彼らのテントを訪ねると、彼らは自分たちが受け入れられ認められたと感じるようで、とても喜んでくれます。

いつも私たちは小さい人々と共に生きています。神が小さな赤ちゃんになられたクリスマスには、24日の晩は、いつも羊飼いの家族と夕食を共にしています。今年は主人を亡くして喪が明けたばかりのハヌーと子どもたちも来て、総勢18人で、お祝いの食事をしました。

そしてお客様がそれぞれのテントに帰っていった後、私たちはピーターとその友人たちと共に感謝の祭儀を祝いましたが、私たちの聖堂は村人で一杯になりました。25日の朝には15km離れたミデルトのシスターたちのところに行き、朝の祈りを共に捧げ、喜びの一日を過ごしました。
 毎日主が私たちの元に送ってくださる人々を通して、主に出会わせていただいています。主は、日々私たちの中にお生まれになるのです。とても貧しい家族の小さなモハメドのことを忘れることはできません。内反足の手術のためにミデルトのシスターたちと精一杯のことをしました。心臓の悪い小さなシハムのためにどんなに祈ったことでしょう。以前私たちを手伝ってくれたスペイン人のフェルナンドは、通りがかりに寄って、かわいい女の子の写真を見せてくれました。この前連絡もなしに山に行ったとき、自分の持てるものすべてで歓迎してくれたイット。彼女はうれしそうで喜びにあふれていました。私たちが与えるのではなく、私たちが彼女たちからいただいているのです。

また13歳のラスヒドは、彼のお兄さんの結婚式だったのに、シスターバーバラが火傷をした子どもの治療のために一人で山に行くと聞いて、シスターと一緒に出かけました。雨が降っていて到着するのに9時間もかかりましたが、夜ようやく到着したとき、彼は疲れていましたが微笑みながら「シスターの道案内をしたのはぼくだよ」と誇らしげに言っていました。

私たちはここでマリア様のように、山を越え、人々に会いに出かけています。私たちが人々と共にいられるのは、私たちが人々に奉仕するからではなく、人々が私たちに奉仕を頼んでくださるからなのだとわかってきました。

ここの人々は皆私たちのことを知っています。それは初めのシスターたちからずっと私たちがここで人々と共に過ごしてきたからです。聖フランシスコとマリ・ド・ラ・パシオンの弟子として、声なき人の声となり、これからも微笑みをもって人々の間で暮らして生きたいと思っています。これが私たちの召命なのです。

Mary and Barbara Kolodziejczyk, fmm