マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本管区

北広島修道院

北広島は新千歳空港からJRで約20分、札幌駅とのちょうど中間に位置しています。平成9年、札幌郡字広島から北広島市になり、札幌のベッドタウンとして、また、福祉都市として、めざましい発展をしてきているところです。
私たちfmmの住んでいるこの北広島修道院は、1929年に北海道の最初の教区長となられたキノルド司教様から「フランシスコの精神を持って、福音宣教をしてほしい」との依頼を受けて、当時の北広島村に無料診療所を開設し、地域の中に溶け込んだ奉仕をしたのが始めです。最初は、関東大震災の少し後で札幌天使病院内に創られた子供の施設が、1930年に当時はまだ自然が豊かであった北広島に移転して、児童養護施設「天使の園」として恵まれない子供たちの世話を始めて現在に至っています。それは時代と地域の必要に従って少しずつ変化してきました。主として孤児のお世話から始まった施設ですが、現在の入居者は主に両親の離婚や病気、親の蒸発などでケアの必要となった子供たちで、約80名がシスターや職員たちの手厚いケアを受けて元気に育っています。最近は「子供支援センター」ができ、いじめや虐待にあった子供たちの支援もおこなっています。
ただ今、修道院のメンバーは9名です。今年、有期誓願者2名が派遣され若返り、活気溢れる共同体になりました。シスターたちは、「天使の園」の行事「クリスマス会・入園式・卒園式・お祭りなど」に参加したり、週1回年令ごとに分けられた子供たちのグループに、創意工夫のもと、神様について30分間話をしながら、一人ひとりと関わりを持ち、子ども達の成長を見守っています。また同じく隣接する北広島教会でも教会学校の手伝いや求道者のための要理などを積極的に行っています。あるいは地域の活動にも関心を持って参加しているシスターや、共同体の中で、料理や畑など献身的に働くシスターもおり、それぞれが、与えられた使徒職を感謝して生き、共同生活を行っています。
「天使の園」の子供たちは、18歳を過ぎると自立して行くのですが、卒園した後も、機会あるごとに自分の家に帰ってくるように修道院を訪れる卒園生を迎えるシスター達の顔はまるで母親のようです。本来ならば、両親や兄弟達と共に営む日常生活の風景です。社会のひずみによって核家族化・孤食・育児疲れなどが進み、その犠牲になるのは声を出したくても声にならない小さな者達です。子ども達は、小さな肩に背負いきれないほどの現実を抱えて天使の園にやってきます。共同体全員で、この子ども達に関わり、困難な状況にある子ども達にはひたすら祈りで支え、励ましています。子ども達が、たとえ、置かれている状況が困難であるとしても、『愛されている』と云うことを実感できるよう、そして、『愛することができるよう』これからも見守り、関わっていきたいと思います。