『21世紀の宣教を探って』教皇庁移住・移動者司牧評議会議長 大司教 濱尾 文郎
「海外宣教者を支援する会」の皆様に、21世紀の新しい時代に入って、遠くローマから一言ご挨拶をしたいと思います。海外宣教者は、宣教者と言われる限り、福音宣教が中心課題ですが、派遣された土地の人々の人間としての尊厳が尊重され其れに相応しい生活条件をも整えるお手伝いもします。特に新しい千年を迎えて、教会は大きな挑戦を受けているのです。今年の1月6日御公現の祝日にヨハネ・パウロ2世教皇は“新千年期の初めに”という使徒的書簡を発布されました。その冒頭に、教会が直面する社会の諸問題への積極的な対応を促しておられます。その中で、世界に出現した新しい貧困について触れておられます。例えば、麻薬に犯された人々、ひとり住まいを強いられた高齢者、見捨てられた病人、差別や疎外の対象となっている人々等です。貧困、紛争、環境破壊などから、よりよい条件の園へと移住する人々は、世界に約1億2千万人いると言われます。国内での政治的、宗教的、また民族的迫害によって他国に逃れざるを得ない難民は、2千2百万人と言われます。
さらに1年の大部分を海上で過ごさなければならない数百万の船員や、約千年の歴史を背負って流浪している千7百万のロマやシンティ(※編集部註:“ジプシー”のこと、ヨーロッパでは、“ジプシー”は差別語となっており、「人間」を意味する“ロマ”“シンティ”と呼ばれている)などは、世界の至るところで差別されたり、無視されている現状があります。残念ながら、人間の心の奥には、自分と異なる民族、種族、国籍、言語や文化の人々を受け入れたくないという狭い心情が存在しているのでしょう。外国人嫌悪症や差別意識は、集団的な民族浄化運動にも走ります。 それは戟争へと導くものです。海外宣教者は、自分が派遣されている場所で、どこでも、どの宗教の人々とも出会い、特にその土地で、弱い立場に置かれた人々、差別されている人々に積極的に手を差し延べることが望まれます。決して易しいことではありませんが、主イエスの命をかけて教えて下さった教えでもあり、またそれの実現を可能にする恵みも下さるでしょう。教皇は、上記の書簡の中で、新千年期は、他宗教との対話の時であることを強調しておられます。 諸宗教同志が胸襟を開いて、相互に学び合い、この地上に平和を築いて行く使命を再確認する時でもあるのです。教会は、自分の仲間のためばかりでなく、他の宗教を持っている人々をも、真の兄弟姉妹として受け入れる広い共同体なのです。“愛の魅力ある新たな幻想性、創造性を模索してください。援助の良い効果を見るよりも、苦しんでいる人々にいかに近付き、連帯しているかを見ましょう、上からの施しではなく、同じ姿勢での兄弟的分かち合いとなる愛の実践を探してください”と教皇は訴えておられます。これらを実践する最前線で活躍する宣教者への、まず祈りによる支援と、文通や訪問による交流と、物質的、財政的援助に今後もご協力下さい。 『第76回役員会報告』「会」の「第76回役員会」が、2001年3月13日(火)午後6時から、東京・四谷・SJハウス会議室で開かれ、次の案件を審議決定した。@「巻頭言」は、「会」の発足当時から、今回の機構改革により「公認団体」として新たなスタートを切るまでのことがよく、理解出来た。 (2)「きずな」75号について @「巻頭言」はバチカンから濱尾文郎大司教にお願いする。 A独立して公認団体になったことの周知記事を掲載する。 B原稿締切りは5月10日。発行は6月1日、発送作業は6月6日(水)の予定。 (3)その他 @機構改革による当会会則の改訂案を検討した結果、全員一致で承認し、4月1日から施行することになった。 A独立するにあたり、新事務所を下記に定め5〜7月は不定期に、8月からは常駐して執務することになった。この任は八幡さんにお願いする。 「日本カトリック海外宣教者を支援する会」 〒161−0032 東京都新宿区中落合2丁目5−1 B当会の案内パンフレットを作成する。 次回に「案」提出(担当・諏訪) 次回運営委員会は6月12日(火)・SJハウス 『援助決定』(2001年3月13日現在)1.アルゼンチン・北島泰子台神父(神言会)から、アルゼンチン、パラグアイ国境近くの日本人移住信徒の司牧のため、車の維持費・ガソリン代として3000ドル(369,000円)の申請があり、承認した。 2.チャドのシスター永瀬小夜子(ショファイユの幼きイエズス修道会)から薬品代(エイズ治療)や難民の援助、女性教育のための費用など500, 000円の申請があり、承認。 3.援助総額 869,000円 |