『海外宣教者を支援する会の皆さんへ』枢機卿東京大司教 白柳誠一
枢機卿 有り難うございます。 −「海外宣教者を支援する会」は、今年9月になりますと、丁度、14年目になりますが、現在、日本から海外に行って宣教しておられる司祭、シスター、信徒たちを支援する活動についてどのようにお思いですか− 枢機卿 まず初めに、1982年、14年も前から、信徒の皆さん方が中心となって、このように海外宣教者を支援して下さっていること、本当に心から御礼申し上げたいと思います。 「全世界に行って福音を述べ、聖父と聖子と聖霊の御名によって洗礼を施しなさい」と仰言った、あの、イエズス様の御言葉は、ただ、弟子達だけに向けられたものではなく、教会を形づくる全ての人、神の民全員に向けて述べられた言葉だと思います。 私達神の民は、それぞれの立場で、宣教する義務があります。 私達は、ある人は日本の国内で、ある人は海外に行って、ある人は、その人達を支援することによって、また、ある人は、その人連を祈りによって助ける、いろいろな境遇に応じて宣教に参画する義務を持っています。 教皇様も屡々、大変強く、私たちに、このことを何回も思い起こすようにと述べられています。 「海外宣教者を支援する会」の皆さんが、長きにわたって祈りとそして経済的援助をして下さっていることは、海外で宣教している方々にとって、とても大きな力となっていると思います。 私達が私たちの周りのことだけを考えるのではなく、全世界に目を向けるということを、他の人達にも教えてくれているような気がいたします。 この度、私も新しく、枢機卿という仕事を貰いましたけれども、これは、教皇様のお仕事を助けるというのが、一番の目的です。 教皇様のお仕事というのは、ローマ司教としてのお仕事だけでなく、全世界のことについて配慮するという仕事もあります。 私を、日本から、枢機卿に任命したというのは、日本の教会も、もっともっと、外のことに、そして、外国のことについて配慮するようにというお望みの表れかと思います。そういった意味で、すでに、沢山の司祭、修道女、信徒の方々が外国で宣教しておりますが、さらに、多くの人達が率先して、そのようなことに参画することを心から望んでいます。 −海外に行かれて、現地の様子をご覧になられ、また、聴かれて、どうお考えになられましたか− 枢機卿 私は、とくにアジア諸国、南米あるいはヨーロッパなどで宣教しておられるシスター方に、屡々、お会いする機会があります。非常に感じますことは、この人達の日が輝いているということです。自分の使命を自覚して、喜びをもってそれに参画しているということを、顔を見ただけで本当に感じ取ることが出来ます。 私達、小さな枠の中に入っていると、本当に自由に、自発的に、すべての力を使い尽くして、目的に邁進するということは、日本国内ではなかなか難しいことです。しかし、外国にいって目的に向かって一途に進んでいる人達というのは、本当に目が輝きを放っているような感じがします。ですから、私たちが、宣教していらっしゃる方々に会うと、大変大きな慰めだけでなく、刺激を受けて帰って来るのです。 −「海外宮薮者を支援する会」、「カリタス・ジャパン」をはじめ、カトリック内の幾つかの支援団体を統一して一本化したらという声もあるが、その点についてどうお考えでしょうか− 枢機卿 「カリタス・ジャパン」というのは、性格が異なるものだと思います。宣教者自身を助けるのが目的ではなく、もっと人道的、社会福祉的なものを目指しています。目的が違うものは、別々であ同じような目的を持つものが幾つもあっていいのではないか、という気がします。一つになってしまうと、極く少数の人だけが動くことになり、却って弱くなってしまうという感じがします。その方が効果的で皆さんが望むなら、一つにしてもと思いますが、今直ぐという必要はないのじゃないかと思います。 −会員の方々に一言− 枢機卿 私達一人一人に課せられている宣教の義務というもの、それは人々の立場、立場によって違った形で果たす訳です。 外で働くわけにはいかない観想修道会の人は、祈りをもって助けることが出来る。祈りというのは、非常に大切な力です。人の心を動かす宣教の最後の実りは、神様の力だからです。そういった意味で、小さき花のテレジアと言われるカルメル会の一人のシスターが、宣教他の保護者となっています。これは、やはり、祈りが本当に、大切であるということを示しているのだと思います。 また、ある人達は、自分は行けないが、海外で宣教している人達を助けることによって、私たちに課せられている責任の一端を担うということが出来るわけです。そういった意味で、「海外宣教者を支援する会」というものは、現在、世界各地で働いている三百何十人の宣教者達にとっては、本当に心の支え、大きな力、励みになっていると思います。ただ、残念なことには、「海外宣教者を支援する会」のことを未だ知らない人が、沢山居ると思いますので、皆さん方がもう少し「会」のことを知らせる運動をなさったら良いのではないかと思います。 (インタビュー‥広報担当・八巻 文責在記者・'95・1・21)
『第51回役員会報告』「海外宣教者を支援する会」の第51回役員会が、94年12月14日(水)午後6時から開かれ、次の案件を審議、決定した。@「きずな」49号について ●2ページ減の14ページだったが、写真も多く入り、全体的にはまとまった内容だった。●国内会員の声を、もう少し多く掲載できればとの意見が出された。 A「きずな」50号について ●巻頭言を、白柳新枢機卿に依頼する。●発行日:3月1日。発送は3月1日(水)。●「きずな」の紙質を一ランク薄いものにする(55K)。50号から試験的に使用してみる(確認)。 B援助要請審議(別項) Cその他=議事終了後、94年度活動の反省会。次回は3月15日。 『一九九四年版「海外宣教者名簿」発行』
『援助決定('94.12.14決定分)』
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