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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES

きずな


《巻頭言》

《宣教師になって感じたことから》

マリア会 司祭 青木 勲
  30余年の海外での宣教師生活を終えて、たくさんのお恵みと貴重な経験をさせていただい たことに感謝し、「きずな」の読者の皆様とすべての宣教師の皆様と、私の経験を分かち合い ながら今回の「巻頭言」にしたいと思います。
  宣教師は、各修道会もしくは宣教会の名で、キリストの宣教の使命に招かれ、それぞれの宣 教地に派遣されます。:未知の世界に挑む情熱と同時に果たして期待に応えられるかという危 惧の念を持ちながら、すべてを「御手の中にお任せします」という委託の心で出発したと思い ます。でも、到着した日からは、今日までの「私トが一切なくなり、今の瞬間を生ようとする 自分しかありません。今まで当り前だった常識や通念が、一切合財抹消されていく感覚です。 つまり、過去の生活規範や絶対指標がなけなしになり、すべてが相対化されたところから、何 か新しい第三のものが出来てくるという体験だからです。
  最初は異文化との出会いの中で、何とか自分に合点のいくように判断する防衛的態度になり がちです。「言葉の壁」が一枚岩のように自分の前に立ちはだかり、遅々として進歩しない自 分自身に焦燥と諦観の気持が忍びより、「生まれ変わるべき自分自身」に対して自信をなくす、 辛くて長いトンネルの時期です。人々は全くお構いなく「それでもあんたは神父さんなの? あなたが言っていること全然分らないよ」と。神父に「ミサの説教さえなければ」と何度考え たことでしょうか。事実当時の一週間は、し次の日曜日の説教の準備に明け暮れしていました。 折角準備した説教が大雨で原稿が読めなくなったり、農家でのミサでは、ガス・ランプのガス が切れて真っ暗闇、加えてミカン箱の祭壇の下で喧嘩を始めた三匹の野良犬を叱った瞬間、覚 えていた説教の内容を完全に忘れてしまい、文字通り「穴があったら入りたい」という思いが しばしばのことでした。日本語の縦書きを横書きに置き変えても、話している内容が本当に理 解できるためには、その国の文化と生活習慣が身につかないと不可能です。個人差こそあれ、 最低10年はかかると思います。そしてやっと言葉の壁が乗り越えられてくると、自分なりの 仕事やその国に対する評価が、公平にしかも尊敬と感謝の気持ちで表現できるようになります。 目からうろこが落ちるように、自分がどれはどこの国と国民から温かく受け入れられていたか に気付き、胸が熱くなり「感謝」の念が自然に湧いてきます。[ここに来てよかった]と感じ る感謝の瞬間です。でも、少しずつ事情が分かってくればくる程、「いかに自分が日本人であり、 外国人であるか」に気付かされます。ですから、結局「宣教師になる」ことは決して「何かを する」のではなく、派遣された国の人と一緒に生かされていることに気づいて、感謝して「生 きること」だと思います。そこには最早、人種や国境の差はありません。自分が彼らにとって どこまで隣人になれるかということです。それは文字通り「キリストのように考え、キリスト のように仕え、キリストのように愛する、力の限り・‥」と。宣教師の皆様、最後まで頑張っ てください。あの素晴らしい歌の文句ように。


  

『第41回運営委員会議事録』

日 時:2011年7月12日(火) 13:00〜15:00
場 所:六本木チャペルセンター・コーヒールーム
議 事
T.2010年度の活動報告(2010年4月1日〜2011年3月31日)
〔会 議〕運営委員会開催 2010年6月12日、9月10日、12月11日、2011年3月26日

〔諸活動〕
1) 広報活動
 @ 宣教地からのレポートと国内会員の声などを掲載した広報誌「きずな」を年4回(6、9、12、3月)  発行し、国内会員と海外で働く宣教者に送付し、相互の交流と宣教者の現地活動を、日本の  多くの人に伝える役目を果たしている。
 A当会のホームページも各方面からアクセスされ、事務局へ問い合わせもあり、海外宣教者の  情報源として活用されている。
 B「聖母の騎士」誌の記事の執筆者として、海外宣教者を推薦している。
2)援助活動
 世界各地の宣教者から申請のあった援助について、資料を基にして実績や内容について運営  委員会で検討し、緊急性や必要性の高いものから援助を決定し、実行している。

2010年度援助費一覧

18件       7,193,771

   3)その他
@宣教者の事務所訪問も多く、送られてくる「きずな」を読むと、他の宣教者の様子を知るこ とで励まされ、元気が出ると喜ばれている。
A宣教者と国内会員と相互交流のため、クリスマスカードや手紙の交換も従来どおり行なった。
B教会バザーに出店:ヨハネ祭(小金井教会)10月10日
C統計:会員数 法人・団体会員:2,034件 個人会員:507名 賛助会員:61名
    総計2,602 (2011年3月31日現在)

U.2010年度会計報告 2010年4月1日〜2011年3月31日
2010年度会計報告
(1)入 金(金額単位:円)
(2)出 金(金額単位:円)


*援助実施額が少なかったことや、まとまった寄付金があったため、約440万円が余剰金とし て計上された。この余剰金を基金に組み入れるかどうかについて議論されたが、半分の200 万円を基金に繰り入れることとなった。
*井上監査役から監査報告あり、証票、帳簿などを照合して、この決算書が適正であることが  確認された。

V.2011年度活動計画・予算の審議
〔会 議〕運営委員会を年4回開催予定(2011年6、9、12月、2012年3月)
〔諸活動〕
1)広報活動
 @「きずな」年4回発行 3,800部
 Aホームページの継続
 B「聖母の騎士」誌の執筆者として海外宣教者を推薦
2)講演会・勉強会
 一時帰国中の宣教者、日本に帰国した宣教者に講演を依頼など
3)援助活動
 申請に応じ運営委員会で検討し決定する。
4)その他
 ○帰国・一時帰国された宣教者とのコンタクト
 ○会のPRもかねて、教会のバザーなどへ参加させていただく
  10月9日 ヨハネ祭(小金井市)  10月16日 関口カテドラル祭
〔予算審議〕
1)下記の予算案が提出され、1,200万円の収入とし、原案通り承認された。

2011年度会計予算
(1)入金の部(金額単位:円)
(2)出金の部(金額単位:円)

2)基金については1,200万円のレベルを維持していくことで合意。

  以上審議の結果、すべて承認された。

W.きずな115号について
  フィリピンから帰国されたSr.渡辺から、長文の報告とたくさんの写真をいただき、お便り  の最後に掲載した、と担当者から報告があった。

V.きずな116号について
 巻頭言はブラジルから帰国された青木勲神父(マリア会)にお願いすることになった。
 原稿の締め切りは8月10日、発行は9月1日、発送作業は9月11日(木)に行なう。

Y.援助申請の審議
@ボリビアのコチャバンバのSr.清田光子(聖パウロ女子修道会)からの申請:小学校から大 学までの図書充実のため、778校のうち25校分の援助費として、250万円。この件は前回に 続いて再度検討した結果、今回は50万円の援助を決定した。
Aカメルーンのミンドウル村のSr.末吉美津子(シャルトル聖パウロ修道会)からの申請:ピ グミ族の子供たちの給食費と職員の給料および運営費として50万円。検討の結果、50万円 の援助を決定した。
B南アフリカのセントジョゼフ・コミュニティーセンターのSr.吉田彰子(聖霊会)からの申請: 「孤児と虐待された子供たちのプロジェクト」から出されていた、50名の子供たちの移動な どに必要な小型トラックを購入のための資金の一部として4,000ドルについて検討し、援助 を決定した。
Cフィリピンの南コタバト州のSr.松田翠(御受難修道女会)からの申請:修道院敷地内にあ る深井戸から、水汲みに来ている近くの住民のための配水管設置(敷地外への)の費用とし て8,000ドルの申請があり、検討の結果全額の支援を決定した。
DボリビアのサンタクルスのSr.小湊静子(サレジアン・シスターズ)からの申請:広大な地 域で活動するサレジアン・シスターズ3名の移動のための交通費として、1年分3,000ドルの 申請があり、地理的、治安の面から考えて援助を決定した。
EボリビアのサンタクルスのSr.斉藤クニ子(礼拝会)からの申請:福祉事業・母子寮の子供 の学費、教材費、交通費の援助 7,000ドル(1年間50名分)について審議し、援助を決定した。
FボリビアのサンタクルスのSr.川下ゆかり(イエスのカリタス修道女会)からの申請:オガー ルファティマ乳児院のコピー機が12年を経て使用困難になり、新コピー機購入費3,000ドル の申請があった。現地ではコピー機中心の事務処理がなされているため、援助を決定した。

Z.その他
@会計事務担当:新年度から運営委員の山田真知子さんが中心になって担当することになった。
A事務局の夏休み:8月15日(月)〜19日(金)
B次回の委員会は、9月中旬の中谷神父の都合に合わせて開催日時を決め、六本木チャペルセ  ンター・コーヒールーム行なう予定。


皆様のご支援をお待ちしております

1982年9月、世界各地へ派遣されている宣教者を日本から支援するためにこの会は設立されました。以来、困難な状況にあって現地の人々と共に生活し、喜びも悲しみも分かち合って活動する宣教者を物心両面から支援してきました。これからも皆様からのいっそうのご支援をお願いいたします。
    会費:個人=1口/1か月 1,000円  法人・団体=1口/1か月 10,000円)
    ほかに賛助会員として不定期にご支援いただくこともできます。
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         日本カトリック海外宣教者を支援する会 会長 V.ローシャイタ
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