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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES

きずな


《巻頭言》

《「人々と共に生きる」 東ティモールの現場から》

日本カトリック信徒宣教者会(JLLM)佐藤 邦子
  私は2006年1月に東ティモールで、プライマリ・ヘルスケア(保健衛生予防医療)の普及啓発を行っている「東ティモール医療友の会(AFMET)」に派遣されてから、今年でまる5年がたちました。遠く東ティモールで毎日暮らしていても、皆さまからの温かいお祈りに支えられ元気に活動を続けています。
  東ティモールは、1975年にポルトガルから独立したものの同年に、インドネシアが一方的に介入し、力ずくで併合してしまいした。そして、1999年に独立を問う住民選挙があり、その結果2002年、完全に独立した国として「東ティモール民主共和国」が生まれました。ティモール島というインドネシアの南端にある国を真っ二つに分けた東側の島国です。人口は約100万人とそれほど多くなく、豊かな大自然が残っている美しい国です。
  5年間を振り返ってみても、独立国の成長は著しく、国の政策や規則を作ることに国連をはじめ他国も奮闘してきました。私の派遣先であるAFMETも、東ティモール政府保健省のパートナーとなり、東ティモールの保健ボランティアを育成し、保健サービスへのアクセスがよくない地域でも、住民自らが病気を防ぐことができるよう活動しています。その保健ボランティアさんたちが積極的に、そして継続的に村の中で仕事ができるにはどのようにしたらよいのか、村長や住民と一緒になって考え、実行していくことが私たちの主なプログラムになります。
  そのプログラムの一環として、薬草を煎じて作る薬用石鹸の作り方を、保健ボランティアさんたちに教え、彼らの家やちょっとした広場で大量に石鹸を作ることができるようになりました。下痢や風邪のような疾病を減らすための保健セミナーをする際に、手作りの石鹸も販売します。そうすることで、ボランティアとしてのやる気にもつながっていきました。また、薬用石鹸は、特にきれいな水がない地域による皮膚病、ダニや蚊に刺された皮膚のかゆみ止めにも効能があり、住民からもとても喜ばれています。ですから、保健ボランティアさんたちにとって住民に喜ばれる仕事ができることで、より自分たちの使命を感じ、活動にも手ごたえを感じているようです。
  こうした取り組みをしていく一方、村の中の生活をよりよくしていくため、住民にも改善への意識をもってもらうことが大切になります。私たちが、いくら「手洗いが大切」といっても、また保健ボランティアさんたちがいくら手洗いの模範を見せても、なぜ手洗いが必要なのか、いつ手洗いをすれば下痢にならないのかということを理解し、意識しないとなかなか日々の行動につながりません。自分自身について振り返ってみても、自分の今までの生活習慣を変えるためには、なぜこの生活習慣がよくないのかというのをかなり意識しない限り、ついついそのままにしてしまいがちです。東ティモールの住民にとっても同じことがいえます。栄養不足の状態が続いているにもかかわらず、トウモロコシに塩をかけただけのものを毎日、毎日食べていては栄養失調になってしまいます。
  保健ボランティアさんたちの活躍によって、住民自らが気づき、意識の変化が起こることで、東ティモールの人々が自らの健康を保てるようになるでしょう。意識をもつ、変化を求めるということが、いかに私たちの生活改善のカギになるのかを、今実感しているところです。


  

『第39回運営委員会議事録』

日 時:2010年12月11日(土) 16:00〜17:30
場 所:六本木チャペルセンター・コーヒールーム
議 事
T.きずな113号について
「当初、全体的に原稿が少なかったが、実際には16ページに収めるのが大変だった。また、ハイチのシスター須藤からのお便りは、最終校正が終わった段階で入手したので、お便りの最後に囲みで掲載した」と担当者から報告があった。 *信徒宣教者会(JLMM)の派遣式に出たが、いつもながら感動的な式であった。今回は5人の派遣であるが、P14に池長大司教と全員の写真を掲載した。 *西本神父様の帰天は誠に残念なことであったが、多くのフィリピン人が神父様のために献血したとのことであった。

U.きずな114号について
  巻頭言は「信徒宣教者会(JLMM)の任期を終えた会員の方にお願いすることにし、人選は宣教者会の事務局に一任する。

V.援助申請の審議
 @ ボリビアのSr.松崎ノブ子(聖パウロ女子修道会)から申請されていた大神学院の図書充実のための援助について再検討した。現地に問い合わせた結果、*教区の神学院は貧しい地区にあり、貧しい家庭から召しだされた神学生であること *Sr.松崎は40年現地に住んで書院の仕事をしているので、多くの神父が頼んでくるが、実際には購入できない状態である。*神学、哲学、マリア学、教理など図書を充実させ、神学生だけでなく多くの人が利用するためである、などがわかった。申請は2年分100万円であるが、再検討の結果、今年度分として50万円の援助を決定し、来年度分は確約できないことを伝えることになった。
 A ドミニカ共和国のSr.小森雅子(ショファイユの幼きイエズス修道会)からの申請:3〜11歳の教会学校に通う約200名の子どもたちのための、@教材購入費 A遠足のバス代、おやつ代 B初聖体の必需品購入費として計3,000ドル(約25万円)、これを2年分(2回)の申請があったが、今年度1年だけとして援助を決定した。
 B カンボジアのSr.谷村恵子 (ショファイユの幼きイエズス修道会)からの申請:5歳未満児を中心とした医療、栄養面でのサポートで、2つの村の各100名ずつの栄養補給の費用として1年間4,320ドル(約36万円)の申請であったが、検討の結果援助を決定。
 CボリビアのFr.倉橋輝信(サレジオ会)からの申請:(a)高齢者が多くなった移住地訪問のためのガソリン代など500ドル (b)アルゼンチン司牧訪問のための旅費(サンタクルス、ブエノスアイレス間)450ドル (c)教会の台所、洗面所の修理2,000ドル、計2,990ドル(約25万円)について検討の結果、援助を決定した。

W.支援する会の今後について
@ 現状ではもう少し若い世代に積極的に働きかけ、参加してもらうことが大きな課題である。そのためには、事務局の仕事をマニュアル化すると共に、マニュアル化できない部分も多大なので、まずは「きずな」発送作業に参加してもらうこと、事務局に見学に来てもらうことなどで当会への参加の契機としてもらえるのではないか、などの意見が出された。
A 運営委員会の仕事についても明確にして、関心を持ってもらうようにする。当会の会則には事務局員について特段の定めが無いので、定義について意見が交わされ、運営委員会のメンバーは全員事務局員であるとの共通認識をもった。
  以上のことをふまえて対策の第一歩として、「きずな」の最終ページに3か月に一度の発送作業にボランティアを募集する記事を載せることになった。

X.その他
@ 年末年始の休業は12月28日(火)から1月4日(火)までとする。
A 10月10日に小金井教会のバザーに小規模ながら参加し、事務所での販売と合わせて99,440円の売り上げがあり、純益は57,039円であった。ご協力いただいた方々に感謝。
B 次回の運営委員会は、3月12日(土)、16:00から、六本木チャペルセンター内で行なう予定。



皆様のご支援をお待ちしております

1982年9月、世界各地へ派遣されている宣教者を日本から支援するためにこの会は設立されました。以来、困難な状況にあって現地の人々と共に生活し、喜びも悲しみも分かち合って活動する宣教者を物心両面から支援してきました。これからも皆様からのいっそうのご支援をお願いいたします。
    会費:個人=1口/1か月 1,000円  法人・団体=1口/1か月 10,000円)
    ほかに賛助会員として不定期にご支援いただくこともできます。
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         日本カトリック海外宣教者を支援する会 会長 V.ローシャイタ
 ◎郵便振替口座 00140−5−67881 海外宣教者を支援する会
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