『よきサマリア人』東京教区補佐司教 森一弘
隣人とはだれか、という問に対して、キリストは、よきサマリア人のたとえ話でこたえる。 旅人は、エルサレムを離れた荒野で強盗に襲われ、半死半生のまゝ取り残される。 イエズスはこの人の名、身分、国籍を明らかにしていない。 ただ、「ある人」とあるだけである。 もし、この「ある人」が、身分の高い人、あるいは、同郷の人、同じ国籍の人であったら、どうだろう。 通り過ぎていったといわれる祭司や、レビ人も別の態度をとったかもしれない。 人間は利にさとい。自分の利益になると思えば、すぐさま、反応する。あとで役に立つと計算できれば、労を惜しまない。 自分の仲間だ。身内だと分れば、自分のメンツを考えて、手をさしのべる。利となると思えば動き、自分に無関係だと思えば、避けて通ろうとする。 この傾きは、すべての人の心の中の傾きである。 ・・・損得の打算を忘れて、痛ましい、いのちが横たわり、救いの手を1待っているという事実に目覚めるようにというのが、キリストのメッセージだと思う。 幸いに、たとえ話では、半死半生の男の、痛ましい姿に気がついて、手をさしのべる男があらわれる。 かれには打算がない。損得を忘れて、行動する。 かれは、サマリア人であった。 ユダヤ人から、軽蔑されている人々である。 軽蔑されていようが、愛のため、目覚めて働く。 「あなたも行って、同じようにしなさい」。イエズスは、私たちに課題を与えてたとえ話を結ぶ。 実に、現代の世界は、新しいサマリア人を待っている。 『第12回役員会報告』「会」では、去る4月30日(火)役員会を開き、次の案件について審議、決定した。
『昭和59年度・事業報告』◇広報=広報誌「きずな」4回発行(7・9・12・3月)◇会議用役員会3回(8月2日、10月23日、12月20日) ◇講演会=用11月16日於東京六本木チャペルセンター。「チャドに生きて」(シスター三宅)「アンゴラに捉われて」「チャド(シスター中村)一五〇名参加A12月13日於中央協会議室「インドネシア奨学金の報告と現状」(シスター浜谷) ◇援助=(1)寄付金及物品●トレーナー14個送料五〇、〇〇〇(フィリピン)●ビデオテープ一四、八〇〇(ブラジル)●スライド一八、〇〇〇(マカオ)●太陽のほほえみ録音テープ一年分二八八、〇〇〇(ボリビア)●ビデオテープ一四、八〇〇(ボリビア)●宣教者のためのガソリン代二四八、八五〇(ボリビア)●祈りの本百冊と送料四四、〇〇〇(ブラジル)●車いす一台三六、〇〇〇(フィリピン)●ビデオ一台二四七、六五〇(ペルー)●奨学金3年分の残り六五二、〇〇〇(インドネシア)●中古車購入不足分二〇〇、〇〇〇(ブラジル)●薬品衛生材料二〇〇、八一五(タンザニア)●車いす一台・池ノ上小学校児童より(フィリピン)●あけぼの6、世紀3を個人から送る(毎月)(ブラジル) ◇活動による援助=クリスマスカードを会員有志が分担し、海外の宣教者全員へ送った。●北海道26条教会、仙台・元寺小路教会にサークルや会員が増え、フィリピンからの手芸品、タオルなど生活援助の品物を売ったりしてきずな≠通しての輪が広がった。また、画家の三方さんが描いたアフリカ救援のための絵葉書を販売。 『昭和59年度決算・60年度予算』昭和59年度決算報告(単位・円)収入
支出
昭和60年度予算案(単位・円) 援助費 五、〇〇〇、〇〇〇 広報 六五〇、〇〇〇 印刷費 二三〇、〇〇〇 通信費 一、一〇〇、〇〇〇 事務用品費 五〇、〇〇〇 支払手数料 一〇〇、〇〇〇 交通費 七〇、〇〇〇 会議費 一〇〇、〇〇〇 雑費 一〇、〇〇〇 計 七、三一〇、〇〇〇 ♯アフリカの救援のための絵はがきの販売にご協力頂きありがとうございました。また、発送に当って献身的にお手伝い下さいました多くの方々、入金事務等でご協力下さいました日本カトリック移住協議会事務局関係者へ、心から御礼申し上げます。 |