《巻頭言》 《どうしてこんなことが……》 マリアの宣教者フランシスコ修道会 梶川 邦子
西アフリカのガーナから帰国してはや20年、そこで過ごした7年の日々は私の心の大切な宝物になっています。そこでたくさんのことを教えていただいたからです。学校での教育を通しての宣教活動を終えて帰国が決まり、後の半年あまりを残すのみということで授業数も増え、しておかなければならないことも山積みみになっていた矢先、モーターバイクの事故でひざの骨折という思わぬ出来事に遭遇しました。最後の仕事に励もうと意気込んでいたのに、働くどころか、共同体にも学校にも重荷を負わせることになってしまったのです。修道院のベッドの上でギブスをはめて、しばらく歩行のできない日々が続きました。自分では何もできず、何をするにも共同体の姉妹の手を借りなければできない有様でした。 ある日のこと、担任をしていたクラスの生徒たちがお見舞いにやってきました。わいわいとおしゃべりをした後で、一人の生徒が「シスターのためにお祈りをしてもいいですか」と言いました。少し照れくさかったのですが、「どうぞ」と言うと、祈り始めました。「神様、シスターが怪我をしました。早くよくなりますように。そしてどうしてこんなことが起こったか教えてあげてください」。 「どうしてこんなことが……」このことばが私の心に残り、そのことから考え始めました。それまでのガーナでの7年の宣教生活は、大した貢献もできないままに、それもこのような惨めな有様で終わるなんて情けなく申し訳ないと思っていたのですが、気づいてみると、この怪我をして家にじっとしていた数週間ほど、たくさんの人々に会い、優しい心を集中的にたくさん受けたこともなかったのです。 怪我のことを聞いて村の人たちも、遠い道のりを歩いて見舞いに来てくれました。生徒たちが窓からそっと手紙を投げ込んでくれたこともありました。今までゆっくり話したことのない人たちが、そばに腰を下ろしてゆっくり話して行きました。トラブルのあった先生も、顔を見せてくれて和解ができました。自分が弱くなって動けなくなって初めて、共同体の姉妹たちの思いやりや、ちょっとした心遣いや声かけや笑顔やユーモアの一つ一つが今までになく、ほんとにありがたくうれしく身にしみました。 私のガーナでのミッションは、ただただ、この人たちの内にいつくしみ深い主がいてくださることを知ることだったのだと気づきました。たくさんのことを成し遂げるために、忙しく立ち働くときよりも、何もできないけれど、ゆっくりと一緒にいる時間の中に友情が育つのだというようなことも体験しました。こうして生徒が私のためにしてくれた祈りを、神様は聞き届けてくださいました。遠い国に来て、やっとこのことをわからせていただいたことは、大きな恵みの体験でした。 毎年、瀬田にある私たちの修道会の管区館には、代わる代わる海外に宣教に行っている姉妹たちが一時帰省で帰ってきます。たいてい出発したときよりは大分スリムになって、真っ黒に日焼けして、とってもたくましく、簡単な出で立ちでリュックを下ろすのを、「お帰りなさい。お疲れ様でした。」とお迎えするとき、ほんとにまばゆく見えます。「どんなに人知れずの苦労があったことか…」、「不便な生活の中で病気はなかったのかしら…」いろいろな思いがよぎります。日本に残るつもりはないのかなと思っても、皆2〜3か月のちには、心身の充電を済ませて、また帰国時より幾分ふっくらして「帰ります!」と言って、それぞれのミッション地に戻ってゆくのは、その地の人々との堅い絆ができているからでしょう。主がそこで待っていてくださるという確信があるからに違いありません。 「きずな」で、世界各地で活躍なさる宣教者の皆様のお便りを読むたびに、日本にいる私たちも宣教者たちを通して、世界中の兄弟姉妹とつながっているのだという思いを強くします。 きっと危険なこと、苦しいこともあることでしょう。私もあの生徒のように「どんな出来事にあっても、どうしてこのようなことが起こるのかを主が示してくださいますように」と、宣教者たちのために祈り続けようと思います。 『第33回運営委員会議事録』日 時:2009年6月13日(火) 16:00〜17:30場 所:四谷SJハウス会議室 議 事 T.2008年度の活動報告(2008/4/1〜2009/3/31) 〔会 議〕 運営委員会開催 2008年6月17日、9月9日、12月9日、2008年3月10日 〔諸活動〕 1)広報活動 宣教地から活動のレポートと国内会員の声などを掲載した広報誌「きずな」を年4回(6、12、9、3月)発行し、国内会員と海外の宣教者に送付し、相互の交流と宣教者の現地活動を、日本の多くの人に伝える役割を果たしている。また、ホームページも各方面からアクセスされ、問い合わせもあり情報源として利用されている。 2)勉強会 11月4日18:00からSJハウスで、運営委員の勉強会として、カンボジアから一時帰国中の高橋真也さん(日本カトリック信徒宣教者会)を招き、映像や動画を見ながら、コンポンルアンの水上村での活動報告を聞いた。 3)援助活動 世界各地の宣教者から申請のあった援助について、申請書類を基にして実績や内容について運営委員会で検討し、緊急性や必要性の高いものから援助を決定し、実行した。(P6参照) 4)その他 *宣教者の訪問も多く、送られてくる「きずな」を読むと、他の宣教者の様子を知ることで励まされ、元気が出ると喜ばれている。 *宣教者と国内会員と相互交流のため、クリスマスカードや手紙の交換も従来どおり行なった。 *「海外宣教者名簿2009」発行のための準備開始 *会員数は、法人・団体会員:2,011件 個人会員:477名 賛助会員:63名 総計2,551 (2009年3月31日現在) U.2008年度会計報告 2008.4.1〜2009.3.31
V.2009年度活動計画・予算の審議 〔会議〕運営委員会を年4回開催予定(6、9、12月、2010年3月) 〔諸活動〕 1)広報活動 @「きずな」年4回発行 3800部 Aホームページの継続 B講演会・勉強会の実施 一時帰国中の宣教者、日本に帰国した宣教者に講師を依頼 他 2)援助活動 申請に応じ運営委員会で検討の上、決定する。 3)その他 会のPRもかねて、教会のバザーなどへ参加させていただくなど、従来どおりの活動をする。(6/7目黒教会 10/11ヨハネ祭(小金井市) など) 〔予算審議〕 1)予算案が提出され、若干の訂正と、今年度印刷費が増えたのは7月に発行される「宣教者名簿」の印刷費が含まれていると説明があった。(下記資料参照) 2)昨今の経済情勢により、収入額の減少が見込まれることから、援助費もさらによく検討して決定することが話し合われた。 以上審議の結果、すべて承認された。
W.きずな107号について 担当者からの報告:@P5のチャドに眠るシスター2人のお墓の写真に、大きな白い矢印が入っていたので修正してもらったこと AP15のシスターあかねへの追悼文は、小さい文字になってしまったが、原文のまま掲載したこと、が報告された。 X.きずな108号について @巻頭言は、アフリカで宣教経験のあるシスター梶川邦子(マリアの宣教者フランシスコ修道会)にお願いすることになった。 A原稿締め切りは8月10日、発行は9月1日、発送作業は9月3日(木)に行なう。 Y.援助申請の審議 @ ボリビア・サンタクルスのSr.小濱 静子から、宣教司牧のためのガソリン代1年分(4名の修道女)として4,000ドルの申請があり、検討し承認した。 A パラグアイ・ピラポ移住地のSr.林 静子(聖霊会)から、ピラポ聖霊小学校の学校運営のための教育援助費として20万円の申請があった。生徒周辺の経済状況など考え、援助を決定した。 B ペルー・チクラヨ市のSr.川俣恭子(礼拝会)から、チクラヨの自立援助センターに通う極貧状況にある女性たちのための交通費、30名分として6,000ドルの申請があったが、今回は5,000ドルの援助に決定した。 C ボリビア・サンタクルスのSr.斉藤 クニ子(礼拝会)から、同会が経営する母子寮に住む子どもたちのミルク代、教材費、学費、交通費(バス)などの合計7,200ドルの申請があった。この寮には乳児、幼児、小中高校生が60名住んでいる。検討の結果5,000ドルの援助を決定した。 D カンボジア・タケオ州のSr.谷村惠子(ショファイユの幼きイエズス修道会)から、担当している2つの村の栄養失調児(1〜5歳)のための栄養補給の食材購入費として、2,880ドルの申請があり、援助を決定した。 Z.その他 @ 牧野委員から、6月7日の目黒教会のバザーに出店し、45,300円の利益があったと報告があった。献品も多かったが、これからは物品を搬入する費用も考慮しなければならないと思うという感想。10月11日には小金井教会のバザーに参加の予定。 A 2009年版の「宣教者名簿」が井上委員夫妻の尽力で完成、発送作業は8月から。 A 次回の委員会は、9月12日(土)、16:000から四谷のSJハウスで行なう予定。 (以上)
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