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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES








『生活そのもので語られる言葉を聴く』

仙台司教区司祭 首藤 正義



 ブラジルでの短かった宣教生活を終えて日本に戻ってから、すでに12年が過ぎてしまった。その間、体験を風化させないために、時々ブラジルを訪問している。アマゾンの厳しい自然環境、貧困の中に生きる人々、義務教育を満足に受けられなかったにもかかわらず、家族を抱えながらカテキスタとして村の人のために奉仕する人々。またその人々と共に働く宣教者たち。そしてモノトーンなリズムの中で、ナマケモノ(動物)の動作のごとく遅々として変わらない人々の生活。
 日本で教会生活を続けていると、いっの間にかブラジルが遠のいてしまうような気がする。それはアマゾンの飛行機から眺めているようなものである。見えるのは密林ばかり、その中で生活している人々がちっとも見えないのである。
 確かに、初めてアマゾンをこの目で見たときの感動は今でも覚えている。1988年2月22日、サンパウロからマナウス経由でサンタレンへ向かう機上でのことであった。時はすでに夕暮れ、延々と広がる濃紺の密林地帯を切り裂くように、銀色の数本の線がチラッチラッと見え隠れしていた。アマゾン河だった。胸がジーンと熱くなるような一種独特な感情の高ぶり、「とうとう、やって来た」という実感。機内からじっと飽きずにアマゾンに見入った。ただ「ついに来た」ことの感慨に浸っていた。
 その後、何度か機上からアマゾンを眺める機会があった。しかし、もう二度と同じような感情を覚えることはなかった。果てし無く広がる密林地帯には多種多様な動植物だけでなく、人間が住んでいた。人々の生活があったのです。人々は、十数家族、時には百家族以上でもって一つの集落を形成し、村の長を中心に祭り・共同作業等について相談しながら、電気、ガス、水道のない中で生きていた。また、昔ながらの方法でマンジョウカを植え、アマゾン河での漁でもってその日暮らしをしている。したがって、人々の生活は実に単純素朴で、そして貧しい。家族が多いため、小さい子供たちがいつも裸でいるのをしばしば見かけた。もちろん、子供たちはいつも明るく元気に走り回っていた。
 どこの村も抱えている共通の問題がいくつかある。大人たちの中には文字が書けず読めない人が多い。結婚式で、新郎新婦そして証人たちの署名のとき、自分の名前が書けなくて当惑している場面にしばしば出会った。学校教育は4年までしかないところが多く、先生が一人で3学年同時進行の授業風景も普通に見られる。子供たちは、教科書はもちろんのことノート、鉛筆に事欠く有様であった。村によっては先生一人を確保することが困難なこともある。
 村には医者がいない。病気にかかったときにはバジェ(祈祷師)を訪ねるか、古から伝わる薬草を捜し求めて、それを煎じて飲むしかない。幾人かの幼い子供がバジュのところで、その命を天に返してしまった。マリア・グラシアは親戚や村の人たちの好意で町の医者にかかることができたが、専門医に診てもらわなければならないということで、結局は村に戻ってきて9年4か月という短い命を天にお返ししてしまった。
村の人たちは魚とファリーニャだけ、という貧しい食生活を送っている。栄養の絶対量が不足している。
 飛行機から眺めるアマゾンは壮大である。濃紺の密林地帯は茫々たる草原のようにも見える。アマゾンということばの響きは、人々に夢を、冒険心を駆り立てる。日本から眺めるアマゾンはやはり密林しか映らない。しかし、そこには、人間の哀しさ、喜び、希望を抱えて生きるたくさんの人がいる。
 ブラジル訪問は、厳しい条件の中で生きているアマゾンの人々の生活そのもので語られる言葉を聴きに行くのである。






『第17回運営委員会議事録』

日時:2005年6月10日(金)18:00〜20:00
場所:四谷SJハウス会議室
議事:
議事を始める前に、金祝を迎えられたローシャイタ神父様へお祝いの言葉を述べた。
I.2003年度活動・会計報告の審議
 事務局の八幡さんより資料をもとに活動報告が行われた。
 @広報活動:会報誌『きずな』を年4回(6,9,12,3月)発行し、これが会の活動の大きな核となっている。
 一時帰国宣教者を迎えての勉強会はシスター佐野、田中(6月)、シスター篠田、根岸(11月)と2回行い、現地の活動状況を具体的に理解するために役立った。
 ホームページは最近月平均180件くらいのアクセスがあり、それを通じての照会な  どもあった。
 A援助活動:2004年度援助費は、23件10,492,397円と予算を多少上回る額を実施し た。予算上の制約で施設の増改築などに関 わる申請については、見送らざるを得ない ケースがあった。(P16参照)
 B会員数は年度末現在で2,436と129増えている。個人会員と賛助会員は僅かであるが 減り、法人会員が139増えた。
 C会計報告について:2004年度会計報告および貸借対照表に基づき、会計担当の原さ んから報告があった。援助費が予算を上回ったが、運営経費が予算を68万円以上下回っ たので、総額では予算内の支出となった。
 運営経費で予算を上回ったのは雑費であるが、これは顧問司教の逝去にともなう弔慰 金のため。収入金は予算を29万円ほど下回り、基金取り崩しは予算通り50万。
 なお、収支決算を見やすくするため、次年度よりは繰越金を収入の欄に入れることにした。

会計報告 2004.4.1〜2005.3.31
収入
会費・寄付金13,209,540
基金より500,000
雑収入(含む預金利子)13,655
前年度剰余金876,883
合計14,600,078

支出
援助金10,292,397
研修費85,097
運営経費3,801,474
次年度繰越剰余金421,110
合計14,600,078

II.2005年度活動計画・予算の審議
 @活動計画:広報活動はこれまで通り『きずな』の発行と講演会・勉強会の開催を中 心とする。勉強会については、多少滞在期間に余裕のある一時帰国の宣教者にお願いして、できるだけ多くの方々に参加してもらえるものを1回、それに規模の小さい勉強会を1回予定したい。
 A今年度の予算案について:2005年度会計予算に基づき説明あり。収入金は前年度と 同じ規模とし、基金取り崩しが926,000円と多くなっているが、これは今年度「海外宣教者名簿」を700部作成するので、その関連支出増をカバーするためである。予算規模は前年度とほぼ同じである。
 B援助活動:これまでの予算規模で、申請に応じて運営委員会で検討し、実施する。
 Cその他:教会のバザーなどへの出店は、すでに6月5日に目黒教会で行い、教会側の特別なご協力で67,910円(その内18,000円はカリタス修道女会のCDの売上げによる)の献金を集めることができた。また、当会のPRも積極的に行うことができた。
 次は成城教会のバザー、10月30日を予定している。
III.きずな91号について
 @巻頭言の終わりに囲みでモーリシャスの簡単な解説が入ったのは、日本では余り知られていない国だけにとてもよい配慮であった。
 A今回の編集に関しては時間的に余裕がなかったので、残念ながら写真を十分利用することができなかった。今回は20ページでまとめたが、このところお便りの数が増えているので、場合によっては24ページとすることも考えられる。ただし、郵送料(メール便80円の限度)への跳ね返りがあるので、今年度は宣教者名簿の発送もあり、経費上難しい。来年度からはこの増ページも考慮する。
IV.きずな92号について
 巻頭言については女性が続いたので、中谷神父を含め神父様にお願いする。最終的にどなたにするかは八幡さんを中心に進める。
V.援助申請の審議
 04年度にすでに支援をコミットしていた下記@およびAを含め5件の申請を審議。援助承認合計額は2,192,632円(ドルの換算率は$1=110.58円)。
 @ペルーのSr.川俣(礼拝会)からの申請:「聖マリア・ミカエラの家」に通ってくる貧しい女性(30人分)の支援経費として387,030円($3,500)を承認。
 Aカンボジア・シェムリアップのSr.黒岩(ショファイユの幼きイエズス修道会)からの申請:貧困家庭への支援(米、粉ミルク)として221,262円($2,001)を承認。
 Bブルキナ・ファソのSr.黒田(マリアの宣教者フランシスコ修道会)からの申請:聖フランシスコ栄養失調児回復センターの農業用小型トラック購入のための積立金として800,000円を承認。(この申請は前年度にも審議され、その結論は持ち越しとなっていた。この支援は今後も継続する必要あり)
 CボリビアのSr.斉藤(礼拝会)からの申請:母子寮の乳児用ミルク代($5,760)の半額と授産所・保育園用コンピューター1台購入費($1,500)として484,340円($4,380)を承認。(母子寮の子供たちの学費などについては、見送りとなった)
 DインドネシアのMrs.L.M.Kasih Kosasihと浜谷真佐美さん(聖母カテキスタ会)からの申請:貧困家庭と両親に捨てられた障害児20名の生活費、教育・通学費として、申請額の一部30万円を承認。
Vl.顧問司教就任の依頼について
 @事務局の八幡さんから顧問司教について発言があり、運営委員会としては押川壽夫司教(那覇教区)に顧問就任を依頼することとした。最終的決定は6月16日以後になる予定。
 なお、顧問の任期について会則には明記されていないので、今後問題となりうることを考慮し、会則の5項:顧問に関する規定について、次のような但し書きを加えることとした。
 「顧問の任期は3年とし、但し、再任を妨げない。」
Vll.その他
 @ローシャイタ神父様は金祝のお祝いもあり、7月15日〜9月28日までブラジルに帰  られる。留守中の会長代理として中谷功神父様にお願いする。
 A事務局の本年の夏休みは8月15日(月)から始まる1週間とする。
 B次回の運営委員会はローシャイタ神父様の帰国後の10月7日(金)とする。
 Cきずな92号の発送日は9月7日(水)とする。