『何処でも、誰とでも、兄弟姉妹として生き、奉仕する人々のために』横浜司教 濱尾文郎
教会は、神の国の目に見えるしるしとなることが使命です。 異なる時代に、その時代の流れの中で、社会に神の国のしるしとなるためには、異なる姿を取ることが必要でしょう。 情報化時代と言われる現在、世界中のニュースが互いに交換され、多くの人々が、世界に起きる事柄を、殆ど、同時に知ることも出来る時代になってきました。それは互いに、よりよく理解を深める助けとなっているはずです。しかし、第二次世界大以降、世界中に、今日まで、凡そ一五〇の紛争、戦争が存在しました。やはり個人だけでなく、人間は団体となっても、それぞれの民族や国家のエゴイズムが強く、自らの利益のために争いが生じるのでしょう。宇宙飛行士が、月から地球を見て、次のように言っていたのが印象的でしみヽ「今まで見なれていたものが、見えないのに気が付いた」ということです。「それは、国境線が見えなかった」のだそうです。 机の上にひろげる世界地図は、殆ど国別が色で分かれ、国と国との間には国境線のあるのに見なれていたからです。でも、現実に地球上には、そのような区分がありません。ロスアンゼルスのオリンピック大会の閉会式に登場した宇宙人も「近くを通ったら、地球の若者の皆さんが楽しそうに集まっているので、一寸寄ってみたくなった」という発言をしていました。企画者の意図は分りませんが、宇宙人にとっては、どこの国が、どの位金メダルを取ったかは問題でなく、地球の人々の集いとしか見えないという、一つの未来への示唆のように受け取りました。 キリストは、ユダヤ人と異邦人の間にある大きな壁を打ちこわして、一つの人類として神と和睦して下さったのです(エフェゾ2・14〜18)。神の国は、何民族、何国籍を越えて、人間が地球上何処でも、誰とでも、兄弟姉妹として生きられることを示しています。 現時点で、世界中に、沢山の邦人シスター方が、宣教者として活躍しておられます。邦人司祭も少数ですが、主に南米で宣教しておられます。今後宣教者はキリズ卜教国から非キリスト教国に赴くという姿でなく、世界中どこにでも、誰でもが生き、祈り、人々に奉仕していく姿となるでしょう。このように国籍や民族を越えて、地球人として生き、互いに兄弟姉妹として助け合っている宣教者が、今後も多数生まれることが、日本の教会にとって大切です。信徒宣教者も少しずつ生まれています。 海外宣教者を支援する方々は、宣教者と同じ心で、日本国内におグローバルいても地球的な視野を持って、少しでも多くの協力者を見出し、広い、心の教会となっていくよう、これからもご活躍下さるよう、お願いいたします。 『海外宣教者を支援する会役員会報告』海外宣教者を支援する会は、去る11月23日(火)中央協議会会議室で役員会を開き、次のような案件について検討、決定した。
『アフリカは今″講演会盛会裡に』干ばつと戦いによって飢餓に陥っているアフリカの実情を知り支援の輪わひろげるため、「会」主催のアフリカは今”講演会が、去る11月16日(金)午後6特から、東京六本木にある、フランシスカン・チャペルセンターで開かれた。講師は折から帰国中の幼きイエズス会の三宅陽子シスター、マリアの宣教者フランシスコ修道会の、中村寛子シスターのお二人、2年間の間に体験したチャドの生活と、実情(Sr三宅)、昨年12月にアンゴラで、ゲリラに摘まって抑留された生々しい体験(Sr中村)が、それぞれ、スライドとともに語られ、会場のおよそ一五〇人の聴衆は、息をのむ思いで耳を煩け、深いアフリカのいたみを心に刻みつけられた。会場には、作家の曽野綾子さんの姿もみられ、関心のある問題だけに、両シスターに熱心な質問が浴びせかけられ、講演会は、盛会のうちに午後8時半すぎ終了した。(チャド)Sr三宅陽子 (アンゴラ)Sr中村寛子 −参加者約百五十人− アンゴラで現地の人々と−Sr中村 |