トップ会報『きずな』60号目次 > 本文
KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES







『日本から世界へ世界から日本へ』

カトリック国際協力委員会秘書 石井芳子
 日本から世界各地へ多くの宣教者通が出かけるようになって十年、二十年の歳月がたち、今なお新たに出かける人、帰る人、再出発する人と続いている。こうした「時」を迎えたことは、日本の教会が海外からの宣教者たちによって育てられ、成熟した教会になって来ているしるしでもある。
 それは又、第二バチカン公会議で示された「開かれた教会」と呼応して、日本でも海外に向かって「開かれた教会」のひとつの姿を映し出している。それは日本の教会史上かつてなかったことである。
ここにきて海外宣教者は目新しいことではなくなったが、今なお政情不安な地に止り続け、命を危険にさらしながら、共にあろうとする姿は、多くの人々の共感を呼び、人々に勇気と励しを与え続けるであろう。「霊の火」を消してはならない。高齢化を迎える日本の教会が内向きに転じてはならない。更なる飛躍と、信徒の時代と言われる今日、信徒の中からも海外に飛び立つ宣教者が多く輩出する時、日本の教会が本当に「宣教する教会」となるであろう。ここで誤解されないように、海外に行くことが即ち宣教であると言うことではない。ひとつのひな型として教会の使命が写し出されるからである。
 ひるがえって、日本の教会は、今、海外から多国籍の兄弟を迎え、国際色豊かな教会になりつつある、各地でインターナショナルデーが催され、方々の教会では多言語のミサが捧げられている。二十年前に誰が今日の日本の教会を想像したであろうか。もはや日本人だけの教会ではなく、神の子である万人のための教会として「開かれた教会」となる時である。
 かつてのミッションの地で、仲間だった人々と日本で再会するとは思ってもみなかった。貧しいが故に、生きて行くために祖国を出た兄弟たちの現実は厳しい。日本の社会のもつ様々な矛盾が彼らを圧迫し、時に人権侵害にさらされることも多い。今各地でそうした人々のための支援と連帯の輪が拡がっている。そこにも帰国宣教者の活躍する場がある。彼らのことば、習慣を知り、よき理解者として側に立ち、かけ橋となることができる。
 「行く人」「来る人」「帰る人」と様々な出合いは、同じ人間として、兄弟として共に学び、受け入れ、変えられながら、より豊かな「神の国」を証しする新しい時代を迎えていると思う。
 二十一世紀を目の前にして、更にボーダレスが進み、グローバリゼーションの時代となるのは必至である。変動の激しい世界の動きを見極めるのは難しいが、今世界が抱えている多くの問題の根にあるものは何であるか問いながら、それに対する方法論を打ち出す研究を進め、日本で、世界で、人々と連帯し行動を起す具体的な福音化を計って行く必要があると痛感している。
 二十一世紀、日本にあっても世界にあっても、内的変革が世界の変革へと連動するであろう。そうした日を目指して、今日福音のメッセージを生きたいものである。
(天使の聖母宣教修道女会)






『第六一回役員会報告』

 「会」の第六一回役員会が、一九九七年六月二十六日(木)午後六時から、東京・四谷の上智大学内・SJハウス会議室で開かれ、次の案件を審議、決定した。
  • 一九九六年度「決算」報告 (承認) (別項)
  • 一九九七年度「予算案」審議 (承認) 
  • 一九九六年度「事業」報告 (了承) (別項)
  • 「きずな」五九号について  ☆編集者から、文中の数字表記などが、従来、まちまちだったので、読み易いよう和数字に統一してみたとの報告があった。また派遣宣教者の顔写真掲載の場合、コピー写真は避けてほしいとの、協力要請があった。
  • 「きずな」六〇号について  ★巻頭言は、新たに、カトリック国際協力委員会秘書になられたシスター石井芳子(天使の聖母宣教修道女会)に依頼。原稿〆切八月一〇日(日)。発行日九月一日(月)。発送日九月三日。

 なお、会議に先立ち、ローシャイタ師より、梶川宏師のカトリック移住協議会専務理事、「海外宣教者を支援する会」事務局長の辞任と、「海外宣教者を支援する会」会長・ローシャイタ師の同事務局長兼任が報告された。また、新たに、カトリック国際協力委員会秘書に就任された、シスター石井芳子(天使の聖母宣教修道女会)が紹介された。
 次回役員会は、九月二九日(月)午後六時・SJハウスで。






『1996年度・決算報告』

入金の部
会員寄付金10,691,399
預金利子293,807
援助金決済分未払1,603,785
前年度繰越金5,276,423
合計17,865,414

出金の部
援助金10,302,438
運営経費2,529,174
次期繰越金5,033,802
合計17,865,414






『一九九六年度・事業報告』

 一九九六年度中の「会」の事業・活動状況は、次の通り。
 ☆役員会=年四回開催(六月二七日、九月二五日、十二月一七日、一九九七年三月一二日)。
 ☆援助=一九九六年度中(一九九六年三月〜一九九七年三月)の
 「会」の海外宣教地・宣教者への援助は、以下のとおり。
援助総額=一〇、三〇二、四三八円。援助対象地区・件数=ブルキナ・ファソ(二)、チャド(二)、ジンバブエ(一)、アンゴラ(一)、ザイール(一)、エチオピア(一)、コート・ジュボアール(一)、ペルー(二)、チリ(一)、ボリビア(三)、パラグアイ(一)、アルゼンチン(一)、エクアドル(一)、インドネシア(一)、フィリピン(一)、日本(二) 計 一五地区 二二件。
 ☆機関誌「きずな」の発行=「きずな」四回発行(五四号・九六・三・一発行、五五号・九六・六・一発行、五六号・九六・九・一発行、五七号・九六・一二・一発行、五八号・九七・三・一・発行)。
 ◇レポート掲載地区・件数=韓国(一)、台湾(一)、タイ(六)、フィリピン(五)、アメリカ(二)、カナダ (一)、ブラジル(二二)、パラグアイ(八)、ボリビア(四)、ペルー(六)、ザンビア(一)、アルジェリア(一)、ハイチ(二)、チリ(一)、エチオピア(一)、セネガル (一)、ガーナ(一)、チャド(八)、ローマ(一)、エクアドル(一)、ジンバブエ(一)、ザイール(一)、アラブ首長国連邦(一)、コート・ジュボアトル(一)、サモア(一)、ベニン(一) 計 二八地区八〇レポート。◇「ザ・メッセージ(海外短信)」七四レポート。「エコー」九〇通。
 「海外派遣宣教者」一一名を紹介。
 ☆その他=◇「世界の国々で、見たこと、聞いたこと、生きたこと」(宣教を考える会・編)の小冊子の頒布に協力◇ニカラグアの女性自立のための施設「希望の家」の女性手作りカードの販売に協力。◇海外宣教者の現地での活躍を取材した放送テープのダビングなど…約二五件。






『一九九七年度・『国際協力の日』九月一四日』

”いま海を超えて『隣人』がやって来た“
 日本の教会も、いろいろの国籍を持った人々を迎えるようになって何年も経ちました。いまでは、日本人よりも、外国から来られた信者の数が多い教会もあります。「共生」という言葉も、屡々、聞かれるようになりました。しかし、現実には、言葉や文化の違いなどから来る戸惑いも大きいことです。それでも、新しい交わりのなかから、素晴らしい恵みを受け取っていることも屡々あります。お互いが本当に「隣人」同士となれたら、「神の国」を証しする共同体となるでしょう。そしてまた、教皇様の「国際協力の日」のメッセージにもあるように、「どうか、移住者の窮状に心をくだいてください」という呼びかけに、現実的に、応えて行きたいものです。大聖年準備の第一年「イエス・キリストの年」でもありますのでキリストも幼いとき、両親とともにエジプトの地で、「難民」として過ごされたことも想起し、今ある「難民」−広い意味で−の方々との「連帯」をはかり、「神の国」の実現に向けて、共に歩んで行きたいと希望しております。
一九九七年八月二〇日 カトリック国際協力委員会






『援助決定』

 (1997.6.26決定分)
地区援助要請書援助内容援助金額
パラグアイSr.上杉もと(聖霊奉侍布教修道女会)ピラポ近辺のインディオ、貧困地域への無料巡回診療の主として薬品代100,000円
ボリビア倉橋輝信神父(サレジオ会)カトリック日本人信徒・青少年のための信徒会館建設費の一部援助5,000ドル(570,500円)
ミクロネシアSr.赤岩恵子(援助マリア修道会)教会リーダー養成と一般信徒のためのボナぺ語カテケジスの小冊子2000冊分3,000ドル(342,300円)
日本日本カトリック移住協議会海外宣教者のための、カトリック新聞購読料(15カ国、34カ所、38部)503,000円
計 1,515,800円