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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES







『すべては神のはからい』

札幌教区司祭 片山久史

 一九八六年五月、私は創立されたばかりのカトリック信徒宣教者会に入会いたしました。学生の時から、第三世界と呼ばれている地域、それも特に、アジアに興味を持っていたというのが入会の主な動機でした。そして、そこで自分を試したいという思いもあったと記憶しています。入会する以前、私はあるNGOの団体に所属していて、フィリピンで熱帯農業と植林を学んでいました。ですから、農業あるいは植林活動を通じて、派遣される国の人々と交わることになるだろうと思っていました。約半年にわたる日本での研修を終え、私はフィリピンのネグロス島に派遣されました。決して意気揚々と宣教に出かけた訳ではありません。いろいろと自己に問題を抱えながら出かけたことを覚えています。また、何かをしなければという焦りがあったようです。そして、現地に到着しました。しかし、受け入れ先の団体と、信徒宣教者会の連絡が不十分で、受け入れ先の担当者から「君は、一体何をしに来たのか?」と言われ、かなりのショックを受けました。その後、何度か交渉を進めましたが、結局、私は現地の農業団体から受け入れられませんでした。生まれてはじめての挫折。ショックと疲労とが私を襲いました。さらに運が悪いことに、風疹と下痢で、病院に入院することになりました。もう二度と、こんな所に来るものかと、病床の中で決めたのを、今でも鮮明に覚えています。一ケ月半という短い滞在。これが、私の宣教のすべてでした。
 情けなさと惨めさの中、私は帰国しました。日本の教会は、本当に、私をバックアップしているのだろうか?と懐疑心で一杯でした。何も出来ずに帰国した私に、周囲の人々の視線が冷たく感じられま糾した(今振り返ると、私が一方的に感じていただけでした。)
 そのような暗い状況の中、私は深く人生を見つめ始めました。神とは?人間とは?約二年間、私はある温泉街で住み込み働きながら、このようなことばかりを考えていました。そして、このままでは自分が駄目になってしまうと思い、挫折した場所であるフィリピンに、再度、出かけることにいたしました。自分が体験したことを客観的に見つめ直し、前向きに物事を考えたかったからです。そして、予想もしていない場所から、ボランティアの話しが飛び込み、私は、フィリピンのミンドロ島という所で働くことになりました。ここでは、まったく気負いはなく、多くの現地の人々とふれあい、多くのことを体験し、学びました。自分が人々から受け入れられるか、ということばかり考えていた自分。これは過去の自分の姿でした。しかし、ミンドロ島に来て、私は、人々を受け入れようとしている自分に気付きました。この姿勢が私を大きく変えました。
 様々な貴重な休験をし、私は、多くの人々を受け入れたいという思いを実現したく、帰国してから神学校に入学し、司祭への道を選びました。そして、一九九六年四年二十九日に、司祭叙階のお恵みを頂きました。苦しい体験、挫折、喜び、神はこのようなすべてのものを通して、私に働きかけて下さいました。すべては神のはからいでした。その神に信頼し、今後も多くの人々を神の国に招き、受け入れて行きたいと望んでいます。






『第56回役員会報告』

 「会」の第56回役員会が、3月21日(木)午後6時から、東京・江東区潮見のカトリック中央協議会々議室で開かれ、次の案件を審議・決定した。
  • 野村純一司教の挨拶  新たにカトリック国際協力委員会委員長に就任された、野村純一名古屋司教から次のような挨拶があった。
     「海外との関係、国内の、海外の人との関係、海外に派遣された人との関係では、心も痛む問題も多い。しかし、具体的な繋がりを持ち続けて行きたい」。
  • 「きずな」54号について  ○「派遣宣教者紹介」の仁科夫妻(いずれもカトリック信徒宣教者会員)については、新しい宣教者の形として、夫婦であることを明記した方がよかったのではないかとの意見が述べられた。
  • 「きずな」55号について  ○巻頭言は、元信徒宣教者で、4月叙階の片山久史(札幌教区)師に依頼する。〆切は5月10日。
     ○資料として、宣教地の写真パネル、ビデオテープなど問合わせが多いので、貸出リストを「きずな」に掲載する。
  • 援助審議(別項)
  • その他  ○救援物資についての問い合わせが多いので、「必要な品物のリスト」と「発送先」を準備する。
     ○寄付の品物に運送費を入れて下さるようになった。関西大震災以来、意識の変化が見られるようになった。
     ○Sr小田、Sr片岡(エチオピア)のホーム・ビデオに対して、20カ所ぐらいから貸出しの申請があった。
     ○カリスの佐藤氏実父の葬儀(高幡教会)に、八巻氏出席。
     次回は6月27日(木)午後6時から。






『第2回「宣教者の集い」開催』

 現在、一時帰国中の日本人宣教者も含め、海外宣教の経験のある方々、一時帰国の宣教者、帰国して日本で働いたおられる宣教者、日本で働いている宣教者の方々の現地宣教体験、海外宣教での問題点、今後の宣教活動などについて、率直に語り合う集まりです。
 期日 9月22日(土)AM〜23日(日)PM
 場所 聖霊奉侍布教修道女会(聖霊奉侍布教修道女会(東京都小金井市桜町2〜1〜43)小金井聖霊修道院
 経費 未定ですが、五、〇〇〇円〜七、〇〇〇円ぐらい
 申込〆切 7月中旬ごろまで。申込先=カトリック国際協力委員会「宣教を考える会」
 問合せ先 〒135・東京都江東区潮見2〜10〜10・カトリック国際協力委員会「宣教を考える会」TEL=03〜五六三二〜四四四一






『援助決定』

 ('96.3.21決定分)
地区援助要請者援助内容援助金額
エチオピアSr.片岡圭子(マリアの宣教者フランシスコ修道会)高地診療所(標高2.600m電気・水道電話なし)の患者用ベッド17台、マットレス、薬品代475.000円
チリSr.真木栄子(カロンデレットの聖ヨゼフ修道会)タルカ市内の青少年教会活動支援のため1.100ドル
ブルキナ・ファソSr.黒田小夜子(マリアの宣教者フランシスコ修道会)アフリカ人医師の日本研修援助(1995年度に既に認定ずみ)600,000円
日本日本カトリック移住協議会ブラジル、パラグアイ、ブルキナ・ファッソ、フィリピンへの海外援助物資送料81.487円
ボリビアSr.山口多香子(扶助者聖母会)遠隔地宣教の自動車ガソリン代3,000ドル
計 1,691,087円