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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES







『海外宣教者』

カトリック国際協力委員会委員長 名古屋司教 野村純一

 30年近く前の話になりますが、留学中夏休みにドイツのある村の教会でお手伝いしていた時のこと、そのことが地方の新聞に載りました。その記事を見て、その近くの村の出身者の宣教師の家族の方が迎えに来てくださり、お訪ねしたことがありました。丁度その神父様は、高齢のお父さんが帰天されたため、約40年振りに初めて日本から帰国されたとのことでした。神父様は大勢の兄弟姉妹、甥や姪たち、またその子供たちに取り囲まれて、淋しそうにしておりました。子供の頃仲の良かったすぐ上のお姉さんが、弟が早く日本に帰りたがっていると言って涙ぐんでいました。神父様にしてみると、手紙や写真で知っていても、甥や姪たち、日本に出発したとき未だ幼かった妹の孫たちに会っても、何となく実感が湧かなかったようです。そのとき、祖国、家族のもとを離れて長く日本にいた宣教師の置かれた厳しさの一面を見たような気がしました。今のように航空機で一日あれば地球の裏側まで行ける時代と違い、また、高い旅費がかかった当時の宣教師は、宣教地の土になる覚悟で祖国、家族に別れを告げて日本に来ていたのです。しかし、その宣教師を祈りと励まし、経済的支援によって支えていたのは家族、親友、友人、出身教会などの故郷の人たちでした。
 私がおります名古屋における明治時代の宣教は、キリスト教の講話を行なうと同時に、まだキリスト信者がほとんど居ないなかで、規模は小さいながら地域の要望に応える「小学校」、扶養者のいない人たちのための「救老院」などを設立しております。宣教は、種々の社会的活動の分野が増え、形が変わっても、神の愛を伝え、人の命を大切にし、地域の人たちの必要に応える活動であることには今日でも変わりがないでしょう。日本から海外に行って宣教者として働いている方たちにはそれぞれの困難があることでしょう。特に開発途上の国々で現地の人たちと一緒になって、カテキスタとして、また、地域の人たちの医療や生活向上のためなどに働いておられる方々は、丁度明治のはじめにヨーロッパから日本に来た宣教者たちと似た苦労を味わっているのではないかと思います。宣教者ということばを聞きますと、日本で、海外で今まで出会った大勢の人の顔が浮かんで来ます。生まれ育った国以外で働くことは、勿論喜びも大きいでしょうが、文化、生活習慣、言語、気候風土などの違いから来る困難があります。今の日本にはかつてのようにヨーロッパ、北アメリカからばかりではなく、アジア、アフリカの諸国からも宣教者が来るようになりました。聖パウロが記していますように、教会には「そこではもはや、ユダヤ人もギリシャ人もなく、奴隷も自由な身分の者もなく、男も女もありません。あなたがたは皆キリスト・イエスにおいて一つだからです。」(ガラテアの信徒への手紙・3・28、コロサイの信徒への手紙3・11)のですから、世界の人たちと協力して、神の国の建設にともに励むことが、宣教者を互いに派遣しあうことであると思います。






『第55回役員会報告』

 「会」の一九九五年最後の、第55回役員会が'95年12月14日(木)午後6時から東京・新宿の「住友クラブ」で開かれ、次の案件を審議、決定した。
  • 「きずな」54号について  巻頭言は、カトリック国際協力委員会委員長・野村純一名古屋司教に依頼する。原稿の〆切2月10日、3月1日発行予定。
  • 援助審議(別項)
  • その他●太田正巳氏の役員退任の申し出を承認。●ニカラグアの女性自立のための施設「希望の家」の女性手作りのカード6枚組(三百円)を、会として二百組買い取り、斡旋者Sr弘田鎮枝に献金を添えて渡すことになった。ブラジルのSr高橋有子より、現地の人達が作った刺繍入りテーブルセンターを売って欲しいとの依頼があり、5枚は売り、残り5枚も協力のため会で売ることになった。  会議後、一年間の反省と新年度の方針などについて話し合った。
     次回会議は'96年3月21日(木)午後6暗から東京・江東区潮見のカトリック中央協議会会議室で開催。






『援助決定』

 (′95.12.14決定分)
地区援助要請者援助内容援助金額
ブラジルSr浦川朋子(宮崎カリタス修道女会)パラナ州、サンタ・エリザ修道院で宣教用自動車の買い換えの不足分の補助として8,000ドル(1ドル102円として)
モーリシアスSr桐野香(マリアの宣教者フランシスコ修道会)子供たちへの識字教育のためのコピー機一台3,100ドル
パラグアイSr伊藤伎余子(聖礼金)幼稚園の教材として使うテレビとビデオ300,000円
ボリビア倉橋挿信神父(サレジオ会)教会堂の改造(窓ガラスの修理)のため6,000ドル
ペルーマヌエル加藤神父(フランシコ会)ストリート・チルドレン(57人)の食費の一部として5,000ドル
ボリビアSr斎藤クニ子(礼拝会)ボリビア人の優秀子弟への奨学金として4,000ドル
日本日本カトリック移住協議会南米、アフリカへの援助物資送料(26個分)150.610円
計 約3,112,810円