『きずなの大きな連帯感』日本カトリック移住協議会理事長 横浜司教 濱尾 文郎
「海外宣教者を支援する会」が満10年を経、今や11年日に入ろうとしておられます。これは素晴らしいことで、今後、ますます発展されることを、心から望んでおります。
私自身、南米のいろいろな国、また、アフリカのある国を訪れ、そこで働いている日本の宣教者とお会いした時、とくに感じたことは、彼らが日本の教会と繋がっていることを、本当に喜んでおられたということです。なんと云っても、祈りによる支えは、私たち日本に居る者には想像を越える力なのです。 目に見える形での経済的援助は大きな助けと慰めともなっています。さらに、この「きずな」による連帯感も決して小さなものではなく、実に大きな力なのです。 現在、宣教者を送る姿は、かつてのキリスト教国から非キリスト教国へ宣教師を派遣するというのではなく、互いに交流しあいながら、誰でも、何処ででも生きられ、祈ることも出来、誰とでも兄弟・姉妹となれるということを証しすることに変って来ました。 ですから、日本にも、まだまだ沢山の外国人宣教師に来て頂かなければなりませんが、来て頂くばかりでなく、日本からも、もっと沢山の宣教者が海外に派遣されることが望まれます。 日本にも司祭やシスターが足りないのに、何故、海外に派遣するのか−との疑問を持つ方もあるでしょう。日本の一億二千万の人々への宣教を考えると、司祭、修道者の数は、いくらあっても足りません。数が充分になり、余った時に海外に派遣するという考えは間違っています。日本で働いて下さっている外国人宣教師は、ご自分の祖国で余っているので日本に来られたのではないのです。 それぞれの国でも必要な人々であったのですが、日本がもっと困っているので、自分の方は後回しにして、日本を優先させたのです。第二次世界大戦が終わり、世界中どこでも復興に全力を注ぎました。敗戦国は、とくに破壊された都市の再復興に全力投球したのです。ドイツのケルン教区のフリングス枢棟卿は、「何故、ケルン教区が、日本の教会を助けなければならないのか?、ケルンの沢山の教会も、爆撃で破壊されているのに…」といった疑問に、「もし、われわれが皆キリストの兄弟・姉妹ならば、まず自分の都合を後回しにし、もっと困っている兄弟・姉妹の方を優先して助けるべきです」と言う意味のことを言われ、ケルンの人々を説得なさったと、かつて伺いました。なんと云う、素晴らしい指導でしょう。 ここ数年前から、信徒の宣教者も生まれ、とくに、東南アジアと太平洋で、現在、10名ぐらいが活躍しています。司祭、修道老、信徒による宣教者の誕生と派遣は、日本の教会の誇りでもあります。 日本よりも司祭の数が不足していて、年に一度位しかごミサにあずかれない状態の教会もあるのです。さらに、かつて戦争によって、アジアや太平洋の諸国の人々の生命や文化を破壊した過去を持つ日本です。これから先、もっと積極的に、これらの国々の人を助けていく使命が、教会にはあると思います。 海外宣教者を支援する会の皆さん、わたしはこの度、移住協議会の理事長に任命されました。この理事長は、支援する会の名誉会長になるのだそうです。どうぞ、今後、よろしくお願い致します。 名誉会長としてではなく、日本の教会の一点、一司教として、近い将来、日本に新しい宣教会が生れることを期待しながら、皆様の支持とご理解をお願い申し上げます。 濱尾司教(中央)、東チモールの司祭叙会式を終えて 『第42回役員会報告』「会」の第42回役員会が、92年9月17日(木)午後6時から中央協議会々議室で開かれ、次の案件を審議、決定した。
『援助決定』('92.9.17決定分)
『日本の教会から派遣された宣教者国別統計』
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