トンネルの向こうには

2014年8月31日年間第22主日
・第1朗読:エレミヤの預言(エレミヤ20・7-9)
・第2朗読:使徒パウロのローマの教会への手紙(ローマ12・1-2)
・福音朗読:マタイによる福音(マタイ16・21-27)


【晴佐久神父様 説教】

 これはもう、「見てのとおり」と申しましょうか、2週間の無人島キャンプから帰ってまいりました。(※1)
 今年は天候にも恵まれて、無事に帰って来られて良かったんですけども、例年と何だか違うな~と思うのは、いつも帰ってくると、「島モード」から「街モードに」切り替えるんですけど、今年は切り替わらないんです。島での、あの「人間のことを思わず、神のことだけを思う」(cf.マタイ16:23)みたいな生活、ホントにのんびりした単純な生活から街に戻って来て、「さあ、ゆっくり休んだから、これからはまたバリバリやるぞ~!」みたいな気持ち、毎年そんな気持ちがどっかにあったんですけど、今年はすいません、ぜんぜんそれがないんです。(笑)
 いいんですかね、これで。「街モード」に早く戻さないとならないのに、何だかのんびりしたまんまで、「やっぱりなにごとも単純なのがいいよね♪」みたいな感じのまま、ずっと変わらないでいるんですけど、困りましたねえ。・・・仕事が進まない。
 まあ、どれだけ仕事してもキリがないって言えばそれまでなんで、少しは戻さないとって思ってるんですけど、まあ、もしこのまま戻らなかったらすみません。(笑)ず~っと聖堂前のオアシス広場(※2)にハンモック吊るして、ゆらゆらしてても、怒らないでくださいね。

 この、街モードから島モードへ切り替わる場所ってのがあるんですよ。
 東京から、今年、LCC(※3)が奄美に飛んだんですね。成田からですけど、ものすごく安いんです。これで、皆さん、奄美に行きやすくなりましたよ。時季外せば、8千円くらいで(※4)
今まで、ホントに、往復6万、7万かかってたんですよね、夏は特に割引がなくて。安くなってホントにありがたい。近くなりました。成田からピューンと飛んでって、奄美空港からバスで2時間くらいですかね。南の端まで。
 奄美、大きい島です。南の端の港まで行きます。そこから今度、加計呂麻島(かけろまじま)(※5)って所に、船で30分くらいですかね、渡ります。で、船は加計呂麻島の北側に着くんですけど、ぼくらのベースキャンプは南側にある。そのベースキャンプから、さらに南の無人島に渡るわけです。
 ってわけで、加計呂麻島に渡ったら、北から南に山越えてかなきゃなんないんですけど、その途中にですね、トンネルがあるんですよ。過疎地のトンネルだから真っ暗で、何とも、入って行くのがちょっと(はばか)られるような、アヤシイ感じのトンネル。・・・途中でカーブしてるから、向こうが見えない。そのトンネルをくぐり抜けると、パッと明るい風景になって、南側の海が見えてきて、で、ぼくらのベースキャンプが、入り江の向こうに見えてくる。
 そのトンネルを超えるとき、モードが変わるんです。街モードから島モードに。みんなそう言うんです。で、キャンプの仲間たちはみんなそれを「千と千尋(ちひろ)のトンネル」って呼んでる。(笑)
 ・・・ご存じですよね、「千と千尋の神隠し」(※6)っていう、あの物語は、千尋ちゃんがですね、現実世界からトンネルくぐって、異界に行っちゃって、名前も変わっちゃうわけでしょ。「千」に変えられちゃう。だからあのトンネルは、いわば現実から異界に通じているトンネルで、で、そこでいろんな体験をして成長をして、で、またトンネルくぐって現実に戻ってくる。
 加計呂麻のトンネルを「千と千尋のトンネル」っていうのは、誰が言い出したんだか、まさにピッタリのトンネル。あそこくぐったら、もう、街の情報とか、システムの暴力とか、なんかそういうものから離れて、「優しさが第一だよね」とか、「まず命を大切にすることが第一だよね」とか、なんかそういう本質的なこと、思いはそれのみに変わっていく。そして、そういう命とか優しさとかを与えてくれた神に、みんなでホントに感謝しよう、それだけで十分でしょ?・・・そういうモードに替わる。
 で、またあのトンネルくぐってこっちに戻ってくると、再び街モードに戻って、ああそうだった、帰ってあれやんなきゃ、これやんなきゃ・・・っていうことを思い出し始める。まあ、例年そうなんですけど、今年はあのトンネルをくぐっても街モードに戻らないんですよ。・・・どうしようっていう感じ。

 トンネルの向こうはね、ホントに、「異界」というか、「単純なことが大事だよね」っていう世界。
 今年は特に、8月前半のベースキャンプでのキャンプ(「心の病で苦しんでいる若者のためのキャンプ(※7)」)は台風に閉じ込められましたけど、同じ月後半の「無人島キャンプ」は、ホ~ントに天気に恵まれて、今までのキャンプの中でも、ベストいくつに入るだろうっていうくらい天候に恵まれて。・・・穏やかでね~。もう毎年苦労して、波にもまれて渡ったりしてたのが夢のようで。
 今年初めて参加したやつなんか、もう、「わ~♪ 簡単に無人島に来れるんだね~♪♪」みたいなこと言って、「コノヤロー!」って心で思いますけど、(笑)でもまあ、恵まれてよかったですよ。
 波が穏やかでね、サンゴ礁の波打ち際は、()ぐと、ホンットに波ひとつないんですよ。プールと一緒です。波の音がまったく無いので、テントサイトでゴロゴロしていると、泳いでいる人のね、足のチャパチャパいう音だけが響くんですよ。・・・チャパン、チャパン、チャパンって、ホントにプールみたい。それが何日も続いてね。
 ホント恵まれました。だから安心してみんなを泳がすことができましたし、夜も星がきれいでしたしね。夜光虫も今年も見れました。ウミホタル、きれいでしたねえ。
 夜、テントの中が暑いってね、今日もメンバーの当人がそこに来てますけど、外で寝るとかって言って、彼なんか、一晩中砂の上で寝てたんですよ。(笑) 夜中にザーッとね、スコールが来て、慌ててタープ(※8)の下に逃げ込んでましたけど、ホントに自然と一体化して、そしてそこで食べて、飲んで。
 同行した友人の司祭が一人いたんですけど、その彼も、ホントに喜んで、もうハンモックで日がな一日ゆらゆらしながら本読んでましたけどね。何読んでるのかと思ったら、カトリック『神学ダイジェスト』(※9)なんて読んでてね、(笑)なんか、・・・そこは悲しいね、そういうもの読んじゃいかん。(笑) すべて忘れての~んびりしなくっちゃ。

 だけど、今年ね、一番の、私のおみやげ話は、・・・自給自足に、また一歩近づいたんですよ。網を張ったんですね。「三重網」っていう網です。これは、地元の船長さん、漁師さん達が、「こうすれば、メシ食えるぞ」と言って教えてくれた網です。
 幅1.8メートルで、長さが30メートルくらいある網なんですけど、ず~っと浮きが付いてて、下はおもりが付いてるから、こう、何でしょう、長~いテニスのネットみたいなもんなんですよね。それをこう、浜からずっとサンゴ礁の上に張るんですけど、両端を石にくくりつけておけば、ゆらゆらと弧を描く。潮の流れで。それを夕方仕掛けて、朝になったら魚がかかってるから、それを取って食べろって教わったんですね。いや、ホントかなと、そんなに簡単にかかるものかねと思って、教わったとおりに頑張って張ったんですけど、素人ですからなかなか上手に張れずに、でも、苦労して張ったんですよ。
 一晩寝て、さて翌朝、この網を見に行く時の気持ちったら! もう、あんなにワクワクすることってないですね。何がかかってるんだろうって。で、何がかかってたと思います?
 ・・・1メートル以上ある、サメが2匹。(笑) しかも1匹はまだ生きていて、バタバタ暴れてるんですよ。他にも魚がいっぱいかかってるんだけど、もうどうしようかって。
 で、「サメさん、こっち来ないでね~。ちゃんと網にかかっててね」って思いながら、他の魚をね、1匹、また1匹と。これが結構かかっててですね、40センチはあるクロダイ(黒鯛)(※10)、30センチくらいのアオブダイ(青武鯛)(※11)なんかがかかってて、これを網から外して持って来て、うろこ取ってさばいて、刺身にしたり、アルミホイルで包んで焼いたり、あと、唐揚げもおいしかったですね。・・・またひとつ自給自足に近づきました。だんだん、私、あそこで暮らそうと、(笑)計画しているんで。 
 網は、張りっぱなしです。定置網ですね。だからたとえば夕方になると、「さあ、そろそろ飯だ。誰か網から魚持って来て~」って。・・・なかなか幸せな生活ですよね。朝になると、「今日は何がかかってるかな~?」って見に行って、「こんな珍しい魚がかかってた!」とかって。
 そう、セミエビ(蝉海老)(※12)までかかってましたよ。セミエビってご存じですか? イセエビ(伊勢海老)(※13)よりおいしいっていう、おっきなエビですけど。セミエビをお味噌でね、アラ汁みたいにして飲んだら、またこれがおいしくって。
 ・・・あの~、人の自慢話、あんまりおもしろくないですか?(笑) ・・・スミマセン。まあ、ともかく、こう、のどかで幸せな日々っていうのを過ごしたわけですけれど。

 無人島生活って、非常に単純なんですよ。何にもないから、単純なんです。
 で、「単純」っていいことだなって、今年ほど思ったことはない。
 ・・・「単純って、すごくいいことだな」って。
 朝、明るくなりました。海鳥(うみどり)が騒いで、目が覚めました。顔を洗って、みんなで「おはよう!」ってあいさつをして、お湯を沸かしてご飯の準備をします。網に魚を取りに行って、うろこ取ったりさばいたりして。みんなでシートの上の砂を掃いて、ベニヤ板のテーブルをセッティングして、「いただきます」と言って、一緒に食べる。
 キャンプの食事の前後の歌っていうのがあるんですよ。それをみんなで一緒に歌います。
 (歌う♪)「こ~の食事をと~も~に~、わかち~あ~い~、受~けよう、体と心に、か~みさまの愛~♪」
 いい歌でしょ?
 (歌う♪)「受~けよう、体と心に、か~みさまの愛~♪」
 「この食事を共に分かち合い、受けよう、体と心に、神さまの愛」って、ねえ、毎食そう祈って、取って来たお魚をいただきます。
 日中は海で泳ぎ、日陰で昼寝をし、みんなでお茶を飲みながらおしゃべりをします。
 日が暮れると、晩御飯を食べ、寝る準備をして、歯を磨き、テントで休みます。
 非常に単純な生活です。
 日曜日の朝は、ミサをします。
 朝起きて、みんなで一緒に、神さまにすべてを感謝する。それから、朝ご飯。
 ・・・こういう単純な生活をして、あとじゃあ、何をするかっていうと、特にないんですよね。
 ぼくらは街で日々、買い物もしなきゃならない、パソコンも直さなきゃならない、もちろん仕事をしなきゃならない、遊ばなきゃならない、まあ、いろいろあるわけですよね。だけど、本当に、一番やるべきことって何かなっていうと、非常に単純なことだし、そう多くはない。
 その「単純なこと」さえ、ちゃんと感謝のうちにできていれば、あとはもう、突き詰めれば無くてもいいかな、と。普段、余計なものがすごく多すぎるんだと思うんですよね、たぶん。モノでも、情報でも。そこのとこを、ちゃんと見極めつける大切さっていうのを、今回すごく思わされました。
 突き詰めれば大していらないんですよ、ホントに。砂の上に、じかにだって快適に寝れるんだから。なんか、コイルベッドがどうとか、エアマットがどうとかって言ってる話とは違いますよね。砂の上にころっと寝転がって、雨降ってきたらタープの下に行く、と。
 そこまで単純に生きていけないって言うかもしれないけど、人類はず~っとそうやって生きてきたし、魚穫るっていうのも、あれ、やっぱり実際にやってみて、ああ、自分たちはこうして生きてきたんだ、そうやって生きてくんだっていうこと、学べるんですよ。今回も若い子たち、生きた魚を獲ってきて、ホントに学んだと思う。
 面白かったのは、その魚のね、うろこ取ったり、さばいたり、骨取ったりするのが面倒くさいっていう女の子がね、こう言ったんですよ。
 「ああめんどくさい、やっぱり、私、お肉の方が好き! お肉の方が切るの簡単!」(笑)
 もうみんな、一斉に突っ込みましたよ。
 「肉だって、誰かがさばいてんだよ。骨取って売ってるから切りやすいの。じゃあ、牛と魚、どっちさばく?」(笑)って言われたら、
 「魚がいい!」って。(笑)
 ・・・当たり前ですよねえ。でも、現代社会を生きてると、お肉はさばいて塊で売ってるからね。でも、誰かが牛を殺して、首落として、さばいてるわけですよね。豚を殺して、腹を切り裂いてるわけですよね。
 複雑な現代社会で生きてると、だんだんものが見えなくなって、一番単純なこと、「自分の存在で命としっかり向かい合って、ビチビチ暴れてる魚を殺して、さばいて、感謝して食べる」みたいなことの大切さがわからなくなっちゃって、ああ、そういう単純なことで、人は成り立っているなってとこから離れちゃうと、何かだんだん、おかしなことになってくな、と。
 ・・・それこそが、一番学ぶべきことですね。

 今年は、スマホ禁止にしました。
 去年までは、スマホでラインだ、フェイスブックだって、いつもこう、街の仲間に情報を流すし、街の情報を得ますし、それをチェックし続けます。「無人島の夕日、こんなにきれい♪」とかってだれかに送る。大勢の人がそれを見て、「いいね」って反応する。何時間も立たないうちに今度は「星空きれいだよ~」。
 ・・・・何やってんの? って感じになってくるんですよね。
 私、今年はスマホ使用禁止にしました。
 まあ、あの、緊急なことがありますから、「持って来るのは構わないけれど、電源切って使わないでくれ」と、「写真撮るのは構わないが、ネットは使用禁止。それがいやなら来ないでくれ」と、そこまで申し上げました。
 ・・・なのにねえ、夜遅く、テントの外で、(笑)そっとやってるのがいるんですよ。私、たまたまそれ見つけてね、翌朝、ミーティングで言わせていただきました。「止めてほしい」と。「どうしてもって言うんなら、帰ってやってください」と。
 「せっかく無人島に来てるんだから、一番大事なこと、一番直接的なこと、一番単純なこと、そういうことを大切にして暮らそう。誰かとつながっていなくても、神さまとちゃんとつながっていればいいという生活。素直に神さまに感謝して、まっすぐに礼拝して、困ったこと、いやなことがあっても神のみ心だと信じて受け入れるような、単純な生活をしよう。何もなくても『これだけで十分』って言えるような毎日を生きよう」と。

 網を教えてくれた地元の漁師さんたちが、今年、島に渡って訪問してきてくれてね。
 もう、この人たち、ホンットにいい人たちなんですよ。トンネルの向こうの人たちはね、みんな、ホンットにいい人たち。・・・ちょっと変な人たちっていえば、そうかもしれないけど、(笑)ホンットにいい人たち。
 もう、あそこの海宿のおやじなんか、ぼくらのために、何でもしてくれる。今年はトイレまでつくってくれたんですよ、合宿所の横に。もう頭が下がる。
 庭でバーベキューしていると魚の刺身を差し入れてくれる。高価なヤコウガイ(夜光貝)(※14)をね、「これ焼け」って言って持って来てくれる。そこからみんなが無人島に行って、また元気に戻って来るのを、ホントに楽しみにしてて、戻って来るとうれしそ~でね。
 「みんな、行く前と、戻ってきた時と、顔の輝きが全然違う。みんないい顔になってる」って。
 「こいつら見てると、宿をやっててよかったな~」みたいな、そのオヤジの顔のほうがよっぽどいい顔なんですけどね。
 あるいは、船で無人島まで渡してくれる船長、この船長もいい船長でね、みんなのために、重い荷物運んでるうちに腰痛めちゃってね、それでもコルセットして痛み止め飲んで、みんなを無人島に連れてってくれましたけど。
 無人島の沖にアンカー打って、そこから今度は、もっと小さな船で浜に渡すんです。
 その小さな船は、近くの与路(よろ)っていう島(※15)からやって来る。で、この船長さんもまたいい人でね、この人が、浜まで渡してくれるんですけど。その船長さんが、キャンプの途中で、何年かぶりだとかって、島に上がってきて、みんなと一緒に(めし)食ったりしてくれたんですよ。冷たいビールと地元で獲れたイノシシの肉を差し入れてくれて、・・・うれしかったなあ。今までも顔見知りではありましたけど、今回のキャンプで、とても信頼関係ができて、私、それがすごくうれしかった。
 これがまた、しゃべってるとい~い人でね。網の張り方を教えてくれたのも彼です。教わったとはいえ、素人仕事じゃないですか。網なんかもう、何日か張ってるうちに絡まっちゃってるし、魚を外すときに無理して破けちゃうわけですよ。結構ぼろぼろになってね、で、この網を今度、回収するにしても、もうロープ絡まってるし、外せない魚があちこちに引っかかったまま腐ってるし、網があっちこっちのサンゴに引っかかったりして、もう、外せないんです。これ、置いてくわけにいかない、回収しなきゃならないですよね、張った手前。それがもう悩みの種で、これ、どうしよう最後は・・・って心配してたんですけど、その船長さんが、こっちが頼みもしてないのに、「この網、外すの大変だろう」って、海に入ってぜんぶやってくれたんですよ。腐った魚外して、ロープ外して、きれ~に畳んでくれてね。しかも、「来年までに繕っといてやる」って言って、持って帰ってくださったんですよ。
 その彼に、手を合わせたくなりました。そういうこと一つひとつ、とにかく優しいんです。なんかこう、街から来たよくわかんない人間がバカなことしてるのを、しっかりと、愛情を持って、包み込むように守ってくれている。
 あの人たち、それこそペトロじゃないですけど、漁師さんたちって、いいですね。キリストの弟子ですよ、もう、ああなると。
 トンネルの向こうには、「イエスさまを知らなくても、キリストの弟子がいっぱいいる」っていう感じ。
 トンネルのこっちは、何やってるんだろう。
 ・・・トンネルのこっちでも、トンネルの向こうみたいに、単純に、優しさで、奉仕の心で、生きていきたいな~って思わされる。

 イエスさまが、「自分の十字架背負ってついて来い」って、さっき言ってましたけど(cf.マタイ16:24)、ペトロが叱られたのは、「神のことを思わず、人間のことを思ってる」(マタイ16:23)って、これ、イエスさま、叱るわけですよ。非常に厳しく叱る。「サタン、退け」(cf.マタイ16:23)まで言います。
 人間のことを思っていると、人間の考えだけで生きていると、「そんなことがあってはなりません」(マタイ16:22)っていう身勝手な判断をしてしまう。自分に都合のいいことだけを求める、まさに街モードですよ。そこにあるのは傲慢であり、不安であり、時には絶望が襲ってくる。そうではなく、「神のみ心にすべてゆだねよ、神に生かされてある単純な生活を求めよ」ってイエスさまは言う。
 もちろん、十字架はいっぱいあります。私たち、十字架、みんなつらいです。みんな背負ってます。だけど、街モードはとにかくその十字架を否定する。「そんなことがあってはなりません」と。
 イエスは、「その十字架を背負ってても、神のことを思ってれば平気だよ。信じてわたしについておいで。十字架背負っていれば、永遠のいのちに入れるよ」(cf.マタイ16:24-25)と言う。
 単純に、ひたすらにイエスさまについて行く日々を生きたい。
 「神のことだけを思っていればいい、自分の考えはもうどうでもいい」っていう、そういう単純な信仰生活を生きていれば、私たちの中に、真の平和が生まれる。
 ・・・なんか、そういう、トンネルの向こうみたいなことを、みんなでやっていきたいな。
 パウロの言葉ですけども、
 「あなたがたはこの世に倣ってはいけません。むしろ、心を新たにして自分を変えていただき、何が神の御心であるか、何が()いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわきまえるようになりなさい」(ローマ12:2)
 ・・・これをわきまえたいですね。

 今年も無事に、メンバー一同、帰って来ました。
 街で生きている若い人たちが、いっそう神さまの愛に目覚めていくことができるように、どうぞお祈りください。
 若いメンバーも、みんな十字架を背負ってるんですよ。十字架は本当につらい。皆さんもそうです。十字架は本当に大変。生きてくのって、本当に大変。でも、「神の御心(みこころ)を知って、何が神に喜ばれるか」(cf.ローマ12:2)さえ分かっていたら、この十字架は突然、「十字架」じゃなくなって、「復活の喜び」に変わる。
 ・・・若い人たちに、そんな単純な希望を知ってもらいたい。


【 参照 】

※1:「無人島キャンプから帰ってまいりました」
「無人島」とは、晴佐久神父が27年前から毎年夏にキャンプに行っている南の島。
以下は、今年の島の景色です。(それぞれ、クリックすると大きく表示されます)
    
(Special Thanks/この画像は無人島キャンプ参加者からのご提供です。どうもありがとうございました!)
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※2:「オアシス広場」
 2010年春、晴佐久神父考案で造った、カトリック多摩教会の聖堂向かって左側にある、小さな広場。
 大きなパラソルの下には、テーブルとベンチ。特に、日曜日のミサ後には、歓談や軽食のテーブルに使われている。日曜ミサ後の、無料コーヒーサービスも評判。
 春には桜のお花見もでき、夏には暑い中、ひと息つくことができ、秋には読書にも、食欲を満たすためにも、冬には温かいものをみんなで囲むためにも・・・と、いろいろ活用されています。
 もともと、砂漠のオアシスのような広場になればと、「通りがかる方、いらしてくださる方、どなたでも!」と設けた広場なので、皆さまも、どうぞご遠慮なくお立ち寄りください。
(参考)
・ 「オアシス広場」(カトリック多摩教会 月報2010年5月号 主任司祭 晴佐久昌英神父 巻頭言より)
・ 「オアシス広場」(カトリック多摩教会 月報2013年3月号 信徒投稿文)など
下は、オアシス広場の様子です。(それぞれ、クリックすると大きく表示されます)
   
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※3:LCC
ローコストキャリア(Low Cost Carrier)の略称。格安航空会社のこと。
低運賃を最大の特徴とする。
機内サービスの廃止、または有料化、大都市周辺のセカンダリー空港や、使用料の安い空港の利用、航空券のインターネット直販、契約社員活用などでコストを削減している。
(参考)
・ 「LCC」(コトバンク-「知恵蔵2014の解説」より)
・ 「LCCについての質問」(CAN 「よくあるご質問」より)
・ 「格安航空会社とは?」(「世界の格安航空会社 完全ガイド」より)
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※4:「時季外せば、片道8千円くらいで」
リゾート路線に特化したLCC(格安航空会社)のバニラエアが、本年7月1日から就航。4月24日の14時から航空券の販売を始めた。片道8千円から提供している。
(参考)
・ 「東京(成田)=奄美大島線 販売開始」(Vanilla Air <バニラエア>「プレスリリース 2014.4.23」より)
・ 「バニラエアの格安航空券で行く奄美大島」(Vanilla Air <バニラエア>「サービス紹介」より)
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※5:奄美大島と加計呂麻島 (地図)
地図はそれぞれクリックすると、Googleマップが別ページに表示され、詳細にご覧いただくことができます。

奄美大島広域地図
奄美大島広域地図
  
加計呂麻島
加計呂麻島


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※6:「千と千尋の神隠し」
スタジオジブリの長編アニメーション映画。監督、脚本は宮崎駿。2001年7月20日、日本公開。
あらすじなどは、以下などを参考にしてください。
・ 「千と千尋の神隠し」(ウィキペディア)
*****
作品中に出てくる「トンネル」の画像は、著作権上の問題があり表示できませんので、以下からご参照ください。
・ 「千と千尋の神隠し」のトンネル(画像集)
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※7:「心の病で苦しんでいる若者のためのキャンプ」
8月はじめ、心を病んで苦しんでいる若者を対象に、今年初めて行われたキャンプ。
毎年恒例になっている「無人島キャンプ」(※1参照)のベースキャンプとなる場所(加計呂麻島)で行われた。
(参考)
・ 先週(2014年8月17日〈年間第20主日〉)の説教「奇跡が起こりました!」の5段落目位(説教半ば位)からをお読みください。
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※8:「タープ」(英:Tarp, Tarpaulin)
日差しや雨を防ぐ広いシート。キャンプに用いられる。
大きな一枚布を、屋根のように張る。自立する蚊帳のようなものも、「タープ」として売られている。
(参考)
・ 「タープ」(ウィキペディア)
タープの画像いろいろ
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※9:『神学ダイジェスト』
カトリック神学の雑誌。基礎神学、組織神学、聖書、教父、実践神学、教会公文書、などのことについて記されている。
編集・発行:上智大学神学会 神学ダイジェスト編集委員会
(参考)
・ 『神学ダイジェスト
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※10:「クロダイ(黒鯛)」
スズキ目・タイ科 東アジア沿岸域に分布する大型魚。食用、釣りの対象として人気がある。
全長は50cm前後で、最大70cmを超えるが、よく漁獲されるのは30cm前後まで。
歯ごたえがある白身で、特に旬を迎えた夏頃のものはマダイにも劣らず、甘く、美味とされるが、やや磯臭いと言う者もいる。
(参考)
・ 「クロダイ」(ウィキペディア)
・ 「クロダイ」(市場魚介類図鑑
・ 「クロダイ」〈pdfファイル〉(長崎県水産部ホームページお魚図鑑
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※11:「アオブダイ(青武鯛)」
スズキ目ベラ亜目ブダイ科の魚。岩礁やサンゴ礁に生息する大型魚。名のとおり青みの強い魚。
釣りや網などで漁獲されるが、食用には適さず、食中毒による死亡例もあり、注意が必要。
(参考)
・ 「アオブダイ」(ウィキペディア)
・ 「アオブダイ」(市場魚介類図鑑
・ 「アオブダイ」〈pdfファイル〉(長崎県水産部ホームページお魚図鑑
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※12:「セミエビ(蝉海老)」
エビ目(十脚目)・セミエビ科。イセエビと同様温暖な浅海に生息する大型のエビで、食用になる。大きいものでは、体長30cmに達し、イセエビに匹敵する大型種。
イセエビと同様に漁獲されるが、日本では漁獲量は少なく、ときにイセエビより高値がつく。漁獲地周辺での消費が主流となっている。身は甘く、非常に美味で、刺身、塩茹でなどで食べられる。
(参考)
・ 「セミエビ」(ウィキペディア)
・ 「セミエビ」(市場魚介類図鑑
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※13:「イセエビ(伊勢海老)」
エビ目(十脚目)イセエビ科。熱帯域の浅い海に生息する大型のエビで、日本では高級食材として扱われる。大きいもので、体調は40cmに達するが、通常は20~30cm。
刺身を始め、塩焼き、鍋、パエリア、フライ、伊勢海老汁などに料理される。
祝儀などにもかかせない。
(参考)
・ 「イセエビ」(ウィキペディア)
・ 「イセエビ」(市場魚介類図鑑
・ 「イセエビ」〈pdfファイル〉(長崎県水産部ホームページお魚図鑑
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※14:「ヤコウガイ(夜光貝)」
古腹足目サザエ科に分類される巻貝の一種。インド太平洋のサンゴ礁域に生息する大型の巻貝。重厚な殻の裏側に真珠層があり、古くから螺鈿細工の材料として利用されてきた。その名前から、夜に光ると思われることがあるが、貝自体は発光しない。産地では食用にも利用される。
身は硬く、薄く切って刺身などで食べることもあるが、非常に硬いので、火を通す場合は、圧力釜などが必要となる。
(参考)
・ 「ヤコウガイ」(ウィキペディア)
・ 「ヤコウガイ」(市場魚介類図鑑
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※15:「与路っていう島」
以下の地図は、クリックすると、Googleマップが別ページに表示され、詳細にご覧いただくことができます。

与路島
与路島

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2014年8月31日 (日) 録音/2014年9月7日掲載
Copyright(C)2011-2014 晴佐久昌英