マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本管区

メキシコ

移住者の声に耳を傾けて

移住者に関するワークショップに刺激され、かつ、総会での方向付けから光をいただいたシスターグレンダはこのミッションに協力して働きたいと思い、共同体からの支えと協力もあって、移住者たちのためのホームで、1週間に一度働き始めました。これは、その経験から学んだことです。

メキシコ州、レケリアにある移住者たちのホーム「サン・ホアン・ディエゴ」(San Juan Diego)は1月に活動し始めました。そのホームはスラ・ルピタ(Sra. Lupita)という名の女性が管理していますが、皆は彼女が温かい人で、人々を歓迎する態度が素晴らしいので、マードレ・ルピタ(Madre Lupita)と呼んでいます。彼女はこの仕事を線路の所にいる人々に食べ物を持っていくことから始めました。そこには中央アメリカ、主としてホンデュランスから大勢の移住者がやって来ていたからです。この人たちは次の列車で出発するのを待つ間、高架下で眠るのです。

センターはレケリア教会の一室にありますが、それは小教区が移住者たちを迎えるために提供したものです。その部屋は食堂、寝室として使われています。移住者たちは長い道のりを歩いたり、列車の手すりにしがみついたりして何時間も、何日もかかって疲れきってこの地に到着します。(ある人たちは1ヶ月半かかってやってきました)センターで、私たちは彼らが自分たちの習慣に従ってくつろぐことができるように温かく迎え入れます。
スラ・ルピタさんと働きを共にしている私たちにとって、それは神秘的な雰囲気です。センターでの移住者たちの短い滞在の間、私たちは彼らに食物や薬、衣類などを提供しますが、彼らはシャワーを浴びた後、寄付された衣類に着替えます。

メキシコを横断して国境を超え、アメリカ合衆国に行こうと移動するこの人たちの話に、毎日、耳を傾けていますが、彼らの10人中9人までが襲撃や誘拐を経験しています。ここに到着する多くの人は怪我をしており、また手足の切断などで体が不自由になっていたり、女性の中にはレイプを受けた人もいます。 またここに到着する前に命を失った人も何人かいます。

私たちは彼らの現実を見聞きし、フランシスコ的精神で手を差しのべるよう呼びかけを聴いています。すなわち、それは私たちの五感やすべての力を使う新しいやり方です。また、ネットワークをつくり小さい者の精神で協力して働くやり方で、現在、このセンターでは6修道会が協働しており、「キリストのように、与えるのと同じように受けることを学ぶ用意ができている謙遜な態度」で働いています。

祈る時には、私たちは信条や種族の違いにも関わらず、エキュメニカルな精神で食べ物を祝福し、彼らの出発に際しての祈りでは一つになります。私たち皆が祝福を与える時は、立ち去る者たちにも、また後に残る者たちにとっても、神の恵みを分かち合うとても感動的な瞬間です。移住者たちは、飢えも不正義も偏見もない別の世界を夢見ながら、希望をもってその旅を続けていきます。

希望を持つということ、それは生きることです!